無農薬で育った当帰の収穫
石膏は、天然の鉱石で、主成分は含水硫酸カルシウム、CaSO₄・2H₂Oです。光沢のある白色の重い繊維状の結晶の塊で、砕くと容易に針状や微細な結晶性の粉末になります。
石膏といいますと、骨折や靭帯損傷などの場合に患部を固定、保護するギプスが知られています。ギプスは、包帯を石膏で固めたもので、オランダ語Gips(石膏)が語源です。現在は、ガラス繊維製のものが主流になりつつあるようです。
石膏は煎じ薬としても用います。「神農本草経」の中品に分類され、味は辛、気は微寒です。石膏は、解熱止渇剤で、気熱を清涼にし、口の渇きを止めます。心下(みぞおち付近)の熱や、本来上から下へ流れる気が下から上へ逆流する気逆の症状を治します。熱邪が内部に鬱滞して津液が消耗し、口の渇きがとても激しく、水をいくら飲んでものどが渇くという煩渇の状態に効き、薬方の指標の1つとなります。
石膏を用いる漢方薬は、大青竜湯、白虎湯類、小柴胡湯加桔梗石膏湯、麻杏甘石湯、竹葉石膏湯、越婢加朮湯、辛夷清肺湯、釣藤散などです。石膏は、漢方薬、その成分の生薬との組み合わせにより、異なる3つの薬能があります。1つは発汗の作用で、大青竜湯の桂枝・麻黄・石膏の組み合わせにより、強力な発汗を促し、利尿作用も重ねて熱を除きます。強力な発汗剤ですので注意も必要です。2つ目は、清熱作用で、白虎湯類が当てはまります。裏気の鬱滞を改善し、余分な熱を清め冷まします。1つ目と同様に熱を除きますが、働き方は大きく異なります。3つ目は、竹葉石膏湯などに見られる滋潤の作用です。気を下降して水により潤いを与え、煩渇を止めます。