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谷津吉美

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谷津吉美(やつよしみ) / 薬剤師

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コラム

烏瓜の青いあかり〜生薬の話「カロコン」

2022年6月28日 公開 / 2022年11月5日更新

テーマ:生薬の話

コラムカテゴリ:医療・病院




宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだことはありますでしょうか?
著作権の消滅した作品なので、青空文庫で読むことができます。
著作権法の改正により平成30(2018)年12月30日付けで
著作者の死後50年から70年に保護期間が延長されたそうです。
宮澤賢治は1933年(昭和8年)に亡くなりました。

青空文庫だと、右クリックして音声を読み上げるを選択すると、
音声を読み上げてくれますし、スピードも変更できるので、
読書がラクになりますよね。
「銀河鉄道の夜」に、「星祭に青いあかりをこしらえて川へ流す
烏瓜(からすうり)を取りに行く相談らしかったのです」
という文章があります。

Ctrl+Fキーで烏瓜がどこに出てくるかも検索することができます。
烏瓜の青いあかりがどのようなものか気になり調べたところ、
子供のころの「烏瓜の提灯」の想い出を書いていらっしゃる方がいました。
ハロウィンのカボチャのランタンみたいなもののようです。

その方によると、秋田で烏瓜といえば黄烏瓜のことをさし、
賢治の「烏瓜のあかり」も黄烏瓜と思われるそうです。
前回のコラムに出てきた漢方薬、
柴胡桂枝乾姜湯の中の生薬の1つである「カロコン」は黄烏瓜の根です。

カロコン

紅葉の終わった大木に、柿の様な朱赤の果実をつけた蔓を見つける事があります。カラスウリです。カラスしか食べないという意味で付けられたそうですが、実際にはカラスも食べないと言う話を聞いた事があります。
このカラスウリの仲間でテニスボールの様な黄色の身をつけるキカラスウリがあります。

これらの根はサツマイモのような塊で、コルク状の外皮をむいて薬用とします。
カラスウリの根をオウカコン、キカラスウリの根をカロコンと呼び、あせもやオムツかぶれに使用された天花粉はカロコンから作られていました。現在は主にトウモロコシのデンプンを使ったものがシッカロールやベビーパウダーとして売られています。

カロコンには潤肺・排膿・止渇作用があるため内服すると咳・痰・口渇に効果があります。
柴胡桂枝乾姜湯はカロコンを使った代表的な漢方ですが、みぞおちがつかえる・胃がチャポチャポする・冷たい空気を吸い込むと咳きが出る・口が渇くと言った症状が当てはまる人に向いたお薬です。

唾液の分泌が減って口が渇くシェーングレン症候群では、新薬の効果が得られなかった方にもこの漢方で改善した例があります。
また、長引く風邪・口内炎・体が何となくだるいと言った不調にも有効です。

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