アゲハ幼虫・サンショウを食す〜生薬のお話「山椒」
生薬「当帰」を作っている畑で育った無農薬の里芋です。里芋に限らず農薬を使っていないと体を守るために味が濃くなっておいしいです。
土偶は植物の精霊という説をご存知ですか?遮光式土偶のモチーフは里芋ということを読んでいたのですが、ピンときませんでした。しかし、この里芋を並べてみたら、手脚が遮光式土偶そのもののように思えます。
里芋が縄文時代から食べられていたということは、日本人にとても合った食べ物と言えそうですね。
今回は『半夏(はんげ)』という生薬を紹介します。
半夏はサトイモ科の多年草、カラスビジャクのコルク層を除いた塊茎です。半夏は陰暦の5月に生じ、この時期が夏の半ばであることから半夏といいます。半夏は、色は白っぽくやや偏圧した球形をしています。粒が大きく丸くて、色の白い皮が取れやすいものが質のよいものです。味は、半夏を噛んだ時に初めはわずかに甘いですが、後にひどいえぐみがでてきて口中が栗のイガを含んだように刺すような刺激を感じます。これは半夏に含まれるシュウ酸カルシウムによるものです。シュウ酸カルシウムはパイナップルやサトイモにも含まれ、食べた時に口が荒れる原因になる事があります。ただしこのシュウ酸カルシウムの針晶は熱に弱く、また生の生姜でえぐみを緩和できます。半夏と生姜は相性がよく、漢方薬としても一緒に用いられる事が多いです。
半夏は、鎮静、鎮吐、鎮咳、去痰の目的に用います。湿邪を除いて嘔吐を止め、痰を取り除く働きがあります。湿を除くとともに燥を潤す働きもあります。半夏を含む漢方薬には、小半夏加茯苓湯、半夏瀉心湯、半夏厚朴湯、温経湯、小柴胡湯、小青竜湯、抑肝散加陳皮半夏などがあります。まず、小半夏加茯苓湯は半夏、生姜、茯苓の3味から成っています。つわりや急性胃腸炎による悪心、嘔吐に用います。眩暈や心下部がつかえる事が伴う場合が多いです。吐き気、嘔吐を治す主薬である生姜・半夏の二味の薬徴に、水気の逆行を下降させて利水作用のある茯苓が加わった構成になっています。茯苓は半夏と組んで、胃に水が停滞して起こる悪心、嘔吐を治し、また生姜と組んで水分代謝の滞りから起こる眩暈や動悸を治します。半夏厚朴湯は、小半夏加茯苓湯に厚朴(こうぼく)と蘇葉(そよう)が加わったものです。やはり悪心、嘔吐に効果がありますが、気の鬱滞した症状が伴う時に用います。そのためこの漢方薬を使う人には、のどや胸がつかえた感覚があるのが特徴としてよくあります。半夏・厚朴で筋肉の拘攣を緩めて腹満を散じ、半夏・蘇葉で気を発散し胸をゆるやかにします。小青竜湯は、花粉の飛ぶ時期によく活躍します。アレルギー性鼻炎により鼻水が止まらない、目のかゆみ、喘息などに効果があります。これらは水毒症状によるものです。現在アレルゲンとなるものも多いですが、身体を冷やしたり、甘いものや生野菜、果物の摂りすぎでも水毒は起こりやすいです。旬のものを食べ、体を動かして汗をかくなど日頃から身体づくりをしておく事も予防のポイントです。