安眠は健康のもと

谷津吉美

谷津吉美

テーマ:東洋医学の知恵袋




 今年一年は未だかつて無い大変な年になりました。そして今コロナウィルスの第3波が世界を襲っています。コロナから身を守るため、この新聞で自然治癒力をつける方法をお話して来ました。もちろん漢方薬もその一つですが、「一に養生二に薬」と言われるように、まず養生の基本「呼吸・心・姿勢・食べ方」の話を致しました。しかし大切な事を忘れていました。それは生命力の基本「睡眠をとる重要性」に気がついたのです。これは養生と違って、意識をしないまでも私達生命が持っている大切な自己修復メカニズムなのです。ぐっすり眠った後は、嫌な事を忘れて何か幸せな気持ちになりますよね。気持ちだけでなく壊れた細胞の修復や、筋肉が緩む事により疲労物質の排出も促進させます。そして質のよい睡眠は免疫力が上げるのです。睡眠は生命力の基本ですから、いくら健康によいサプリや栄養価の高いものを沢山食べても、睡眠を疎かにしては本末転倒です。

質のよい睡眠をとる方法
「何程疲れたりとも、直に寝るべからす、朝のことく、胸より臍の下へゆるゆると撫さけして、陽気を丹田へ納て寝入へし、夜中変動ありても、少しも倒惑せさる益ある事なり」
(武田家百目録 武田神社より)
いかに疲れているといっても、直ぐに寝床に入って寝る事はいけない。寝床へ仰向けになって両足をそろえ、胸から臍の下の方へゆるゆると三度なでおろし、晴れ晴れとした気持ちで丹田を押さえ気持ちを落ち着けて寝るようにせよ。このようにして就寝すると、夜中どんな異変にあってもあわてふためき、迷うような事はない。と戦国武将武田信玄は言っています。寝る前の考え事は良くないですね。




眠れない方の睡眠法
①頭寒足熱・・・湯たんぽを使う睡眠法
 昨年の冬に陶器の湯たんぽを試しました。とても質のよい睡眠ができます。漢方医学では、頭を冷やして足を温める事は健康の秘訣と言われて来ました。寝る前の考え過ぎは、頭に血がのぼりモヤモヤしてしまいます。足を温めると頭の血液が下にさがり、眠気を催します。陶器の湯たんぽは朝まで暖かいので夜中のトイレも減らす事ができます。

②腸を動かす
腸は自律神経関与の臓器ですから自分の意思で動かす事はできません。ただ食後眠くなるように、腸が活発な方はよく眠ることができます。前々回に書いた「丹田呼吸法」を続けるとよいと思います。もちろん食べ物も大切です。特に甘いものは腸の働きを悪くしますので食べ過ぎには気をつけて下さい。また漢方薬では腸の緊張を緩めて自然な働きに戻していくものがございます。

 睡眠はリズムです。リズムが整えば良い眠りにつくことができます。また、寝る事は体力も必要です。運動が足りない方は体を動かし、動かすことができないかたは姿勢と呼吸を意識してください。そして誰でもできる事は、信玄公曰く「晴々した気持ちで」床につくことかもしれませんね。睡眠を意識してコロナに負けない身体をつくりましょう。
皆様、今年一年お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い致します。

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谷津吉美
専門家

谷津吉美(薬剤師)

有限会社むつごろう薬局

漢方医学を専門に23年。不妊症をはじめ各種女性の悩み・アレルギー・皮膚病・自律神経失調症などの症状に、深い知識で丁寧に対応。また静岡県立高校の進路指導講演会や不妊専門雑誌などで漢方薬を広めています。

谷津吉美プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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