しば漬け=紫葉漬け=柴漬け~生薬の話「蘇葉(そよう)」
今回は、『大黄(だいおう)』という生薬を紹介します。大黄は、タデ科植物の多年草ダイオウ類の根茎です。別名として将軍と言われるほどその作用は峻烈でありますが上手く使うととても効果的に働く生薬です。卵形または円柱形で色は黄褐色~淡褐色、内部は中心から放射状に走るつむじ状の紋様があります。臭いは香ばしいような特異臭があり、味は少し渋く苦みがあります。瀉下薬や健胃薬として用いられる事が多く実証の薬です。漢方では消炎、瀉下、解毒、駆於血を目標に用います。大黄を用いる漢方薬には、大黄甘草湯、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、桃核承気湯、応鐘散などがあります。
大黄甘草湯は、便秘薬としてよく用いられます。大黄と甘草の2味から成り、大黄は、瀉下作用だけでなく消炎作用もあり、急迫症状を緩め抗炎症作用をもつ甘草と組み合わさり解毒消炎剤としての効果もあります。便秘、食べると吐く、手足が熱い、目が充血する、のぼせて頭痛があるといった症状があれば胃や腸に熱があると考えられます。この胃腸の熱、炎症を取り除くことで嘔吐、便秘を改善します。
応鐘散は、日本漢方中興の祖と言われる吉益東洞が考えた処方です。別名、芎黄散と言われ、大黄と川芎の2味から成ります。川芎は、血中の気薬と言われ、気を巡らして鬱々とした気持ちをすっきりさせます。これに清熱下剤である大黄が加わり、頭の充血をとります。この薬方で、10年ほど患っていたうつ病の方が1か月で薬がいらなくなったという症例があります。この漢方薬は、他の処方と合方または兼用して用いる場合が多いです。風邪薬で有名な葛根湯に加えて服用すると、頭痛や肩こりの改善が早くなります。苓桂朮甘湯と合わせると、めまい、目が赤い、耳鳴りがあるといった症状に効果があります。目の病気の麦粒腫、眼瞼縁炎、涙嚢炎、結膜炎、トラホーム、結膜フリクテン、虹彩炎の初期に、炎症、充血があれば使用できます。また、脂漏性湿疹、副鼻腔炎、歯痛などにも使われるように首か上の症状によく効く漢方薬です。