帯を緩める
爪もみ療法というものを聞いたことはありますか?1日2~3回、手足の爪の生え際(1本の指で2箇所、片手だと10点)を少し痛いくらいの強さで10秒ずつ押すと、乱れた自律神経をバランスのとれた状態に戻してくれるというものです。実は爪の生え際の点には、全部ではないですがツボがあります。肘・膝から手足の末端に向かって5つの重要な働きを持ったツボがあり、手足の末端のツボは井穴(せいけつ)と呼ばれています。腎経の井穴である「湧泉(ゆうせん)」が足の裏にある以外は、爪の生え際にあるのです。井穴は水が湧き出る場所に例えられていて、経絡の気が出ています。経絡に異常がある時など治療にもよく使われます。
寝たきりの方など手足を動かすことが少ないと、甘皮が爪に引っ張られてしまい、見えている爪がだんだん小さくなってしまいます。井穴が本来の位置より指先に近い位置になってしまっているのです。これではよくないと、手をマッサージする時に甘皮が下がるように押していたのですが、直接お話を聞けないので具体的な効果は分からないままでした。しかし、先日、肩に痛みがある方を治療していた時に、親指の爪があまりにも小さいのが気になりました。そこで陶器灸で温めた後、本来の爪の大きさに戻るよう、ゆっくりと甘皮を押し下げて、井穴を本来の位置に戻しました。その結果、痛みがかなり軽くなり、動きもよくなったのです。井穴から経絡の気がしっかり出るようになったのでしょう。痛みが
あるために動きが制限され、指の動きも悪くなり甘皮が引っ張られ、さらに動きが悪くなるという悪循環になっていたと思われます。お風呂上りなど甘皮が柔らかくなっている時に、お手入れを時々してみてください。
親指には肺経の井穴の「少商(しょうしょう)」、人差し指には大腸経の井穴の「商陽(しょうよう)」があります。益気養肺功という気功は、「少商」と「商陽」を重ね、親指の関節のでっぱりで小鼻の横から目頭までこすりながら呼吸をすることから始まります。(正式ではないですが)息を吸いながらゆっくりと鼻にそって目頭までこすります。次に息を吐きながら、ゆっくりと小鼻の横までこすります。これを何回か繰り返してください。呼吸は生死と関係があるように、とても重要です。空気が入るところが肺ですが、経絡は肺経→大腸経→胃経→…とつながっていくのです。「少商」と「商陽」を重ねて、人差し指を動かし2点を刺激するのもいいでしょう。パーキンソン病の特徴に親指と人差し指
で丸薬をまるめるような運動(丸薬まるめ運動)がありますが、経絡の流れをよくしようとする動きなのではないかと思えてならないのです。