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安心感 

谷津吉美

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テーマ:東洋医学の知恵袋


                  【 写真は、漢方生薬の じゃのひげ (麦門冬) 】
 
最近は、自然災害や政治の世界、悲しい事件と次々に不安の種がまかれています。
ニュースやネットを見ているだけで頭が重たくなります。
天下泰平の世を作った徳川家康公は、多くの人に安心感を与えました。
 その一つの手段が、中国、宋(そう)の時代の医学書を参考に、自ら漢方薬を作り、お薬を民に施す「施薬院」を作り、庶民の病気を治していたことです。また驚くことに、少ない原料を最大限に生かすため、生薬を煎じるのではなく、粉砕してお薬を作っていました。煎じ薬1人前の量で、約20人分が作れるのです。
 少ない資源を知恵を使って有効活用にする日本の技術は家康から始まったのかもしれませんね。

煎じた香りでリラックス 
 ところで最近お客様から、漢方薬を煎じている香りでリラックスすると言われます。懐かしい香り、おばあちゃんのタンスの香り、またペットの猫が喜ぶなどの声を聞きます。この香りは、私たちの中に眠っている本能を呼び起こすのかもしれません。   無農薬、有機肥料で漢方薬を耕作していると以外に動物の被害にあうことが多いのですが本能的にここは安全とわかるのでしょう。人は安心すると自然に肩の力が抜けます。そして腸が動き出して便意をもよおします。この作用は、少し難しく言いますと、交感神経という自動車でいうアクセルが弛み、副交感神経というブレーキが掛ることから起こります。副交感神経が働くと腸が働き出すのです。またその逆も考えられます。食後に眠くなるのがそれで、このことを利用して「建中湯」とい漢方薬を使って自律神経の乱れやすい方に良い結果が出ています。
 理屈は別にしても、仕事場で漢方薬になる生薬を乾燥させているだけで、安心感に包まれるから不思議です。


(当帰の花・・・2017年6月4日撮影・・・むつごろう薬草畑より)


気分が良くなる食事
 私が大好きな和食屋さんが、家康公が幼少の頃通った浅間神社の表参道、「長谷通り」にあります。ここのお袋の味定食が絶品でお腹と心を満足させてくれます。シンプルな家庭料理ですが、食材から調味料に至るまで質と安全に大変よくこだわっています。お袋から愛情をたくさんもらった気分になり、その日はぐっすり眠ることができます。このことは、「粗食のすすめ」の著者、栄養士の幕内秀夫先生も言っています。シンプルで安全な料理こそ心と体を安定させるのです。

気をめぐらす縄跳び健康法
 小倉重成先生が、すすめていたのが縄跳び運動でした。日本漢方の第一人者です。私の漢方の師匠の師匠にあたる方で、とても厳しい先生であったと聞いています。なぜ、縄跳びが良いの?と聞かれるのですが、その理由は上下運動にあると思います。便秘であれば縄跳びですぐに解消されます。腸が刺激されて、動き始めるからです。腸の働きが良くなれば免疫も上がり自然治癒力が増してきます。また不妊症の方は、子宮や卵巣が動き、血流が良くなり結果が出やすくなります。1日最大で5,000回(約60分)が効果的です。もちろん無理はしないで少しずつ続けてみてください。必ず準備運動と整理体操は15分はしてください。また、膝や腰などを痛めている方にはストレッチが有効で、その後に踏み台昇降運動が良いと思います。
 小学生の時に縄跳びを続けていると、気持ちが高揚して、いつの間にか悩んでいることを忘れて、頭がすっきりした記憶はありませんか。縄跳び健康法の効果は、`気をめぐらす`ことでもあるのです。



                            (むつごろう薬草畑 当帰の花)


心安らかにする漢方療法

 `気をめぐらす`とはどの様な事なのでしょうか。漢方薬を飲んで既にお気付きの方もいると思いますが、頭がすっきりする、喉の詰まりがなくなる、目の疲れがとれる、気持ちが明るくなれる、積極的になる、そして心安らかになれる事です。漢方で言う`気`は、元気、やる気、気分、気性、など私たちの何気無い会話の中で使われていますが、形はなく働きのみを言います。人間が健康維持する大切な要素の一つです。そのほかに、`血`と`水`があります。この気血水が体を循環していればいつまでも健康でいられると東洋医学は考え、病的なものは漢方薬を使って滞りを無くします。循環させることが体内にある毒素を排出させやすくするのです。例えば我慢していた大便や、小便、涙を出した後は誰でもスッキリするはずです。生理前のイライラも生理と一緒になくなるから不思議です。漢方薬では、紫蘇の葉、薄荷、みかんの皮、ほおの木の皮、ニッキなどの薬草をうまく組み合わせて気をめぐらせていきます。
 
 もう一つ大切なものがあります。私たちは、人に傷つけられますが、人に助けられることもあります。気が合う人や人の気持ちがわかる人、そして何より大きな心を持っている人と接すると安心感で満たされます。薬局にわざわざ足を運んで来られる方に、電話やスカイプで相談頂く方に常にそう人でありたいと思います。これが私たち、むつごろう、むつみ薬局の目標です。

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谷津吉美
専門家

谷津吉美(薬剤師)

有限会社むつごろう薬局

漢方医学を専門に23年。不妊症をはじめ各種女性の悩み・アレルギー・皮膚病・自律神経失調症などの症状に、深い知識で丁寧に対応。また静岡県立高校の進路指導講演会や不妊専門雑誌などで漢方薬を広めています。

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