【引き算コーチング】「その小さなイライラを、一つ減らしてみる」
こんにちは、
サポートコーチ出雲の山根浩二です
コーチングをしていると、
ときどき面白いことが起こります。
こちらとしては、
「このあたりを考えてもらったら、
何か答えが見つかるかもしれないな」
と思って質問したのに、
クライアントから返ってくる答えが、
まったく違う方向から出てくることがあるんです。
「あれ、そっちに行きましたか。」
と、私自身が少し驚くこともあります。
でも、私はそれでいいと思っています。
むしろ、そういうときこそ、
コーチングの
面白さがあるんじゃないかなと思うんです。
将棋に「桂馬」という駒があります。
桂馬は、まっすぐ前に進みません。
他の駒とは違って、前に二つ、横に一つ。
途中に駒があっても、それを飛び越えて、別の場所に着地します。
以前メンターコーチのセッション中に、
「私のコーチとしての役割は?」
という質問に、出てきたのが
「桂馬みたいな存在」でした。
悩んでいる人は、
たいてい自分の中で一生懸命考えています。
「こうしなければいけない。」
「でも、こうすると問題が起きる。」
「じゃあ、こっちか。」
そんなふうに、
今見えている範囲の中で答えを探しています。
もちろん、それが悪いわけではありません。
むしろ、ご本人が真剣に考えているからこそ、
簡単には答えが出ないんですよね。
そんなとき、コーチが同じ道を一緒に歩いて、
「もっと考えましょう。」
「他にはありませんか。」
と聞き続けても、
なかなか景色が変わらないことがあります。
そこで、コーチの質問で
少し違うところに飛んでみる。
たとえば、
「もし、あなたではなく別の人だったら、
どうすると思いますか?」
「今の仕事を始める前の自分だったら、
何と言うでしょうか?」
「まったく関係ない話なんですが、
こんな逸話があります。
これを聞いて、
何か思い浮かぶことはありますか?」
そんなふうに、
一見すると今の問題とは
関係なさそうなところへ、
質問で飛ばしてみる。
すると、思いがけないところから
答えが出てくることがあります。
以前、あるクライアントさんとの
セッションで、そんなことがありました。
私はある話をして、
「これを聞いて、どう思いますか。」
と聞いたんです。
私としては、その話についての
感想が返ってくるのかなと思っていました。
ところが、その方が話し始めたのは、
昔のご自身の体験でした。
「そういえば、昔こんなことがあって……。」
そこから話がどんどんつながっていって、
「もしかしたら、
今の自分も同じなのかもしれません。」
と、ご本人が気づかれたんです。
正直、私はそこまで考えていませんでした。
でも、その方にとっては、
その飛び方が必要だったんでしょうね。
私は、こういう瞬間が好きなんです。
コーチが答えを知っていて、
そこへクライアントを誘導する。
そういうコーチングもあるのかもしれません。
でも、私が大切にしたいのは、
コーチにも予想できなかった答えが、
クライアント自身から出てくることです。
だから、私は質問したあと、
待つようにしています。
すぐに答えを出そうとしない。
「どうですか?」
と聞いて、少し黙る。
その沈黙の中で、クライアントの中に
何かが浮かんでくることがあります。
そして、それが私の想像していたものと違っていても、
「それは違いますね。」
とは言わない。
むしろ、
「なるほど。そこに行きましたか。」
と、一緒に見てみる。
なぜなら、その人の頭の中で起こったことは、
その人にしか分からないからです。
私が「こういう意味で言ったんですよ」と
決めてしまったら、
その人が見つけかけているものを、
止めてしまうかもしれません。
コーチは、答えを渡す人ではない。
答えが生まれる場所へ、
クライアントを連れていく人なのかもしれません。
それは、必ずしもまっすぐな道ではありません。
ときには、昔の記憶に飛ぶ。
ときには、誰か別の人の立場に飛ぶ。
ときには、まったく関係なさそうな話に飛ぶ。
そして、そこから今の問題を見る。
将棋の桂馬のように、
一度、今いる場所から飛び出してみる。
すると、今まで見えなかったものが
見えてくることがあります。
私は、引き算コーチングでも、
これを大切にしています。
今の考えをさらに深く掘る前に、
いったんそこから離れてみる。
「本当に、その考え方だけなんでしょうか。」
「もし違う場所から見たら、どう見えるでしょうね。」
そんな問いを使って、
今までの思考の道から少しだけ離れてみる。
すると、
「あ、そういうことか。」
と、ご本人の中で何かがつながる。
その瞬間、答えを出したのは私ではありません。
クライアント自身なんです。
だからこそ、その答えには納得感があります。
コーチングは、
まっすぐ答えを出すための
時間ではないのかもしれません。
ときには、桂馬のように。
今いる場所から、思い切って別の場所へ飛んでみる。
そこから今の自分を見てみる。
すると、今まで見えなかった答えが、
意外なところから飛び込んでくる。
私は、そんなコーチングを
していきたいと思っています。


