定款作成にも、漢字、送り仮名のルールがあります
株主総会のシーズン到来
コロナウイルスの感染が拡大していますね。
しかしながら、株主総会のシーズンは到来します。企業総務関係の方は頭を悩ませているのではないでしょうか。
そもそも、上場企業の株主総会の開催時期が6月に集中するのは何故でしょうか?
会社法には、次のような条文があります。
(株主総会の招集)
第296条 定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
一定の時期が何故6月になるのでしょうか?
会社の定款(根本規則)には、次のような条文があることが一般的です。
(基準日)
第○○条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
この基準日は会社法124条2項で3ヶ月を超えることができないとあります。
もう何となくおわかりかと思いますが、結論としては次のとおり
(1)日本の企業は決算期を3月末にしていることが多い。
(2)定時株主総会の株主を確定させるために、定款で基準日が3月末とされている。
(3)そこから3ヶ月以内に定時株主総会をすれば、3月末の株主を株主として扱うことができる。
(4)決算書類の準備や株主への招集通知の準備等もろもろあるので、定時株主総会はギリギリの6月末頃になる。
コロナウイルスでも、定時総会をやるのか?
結論としては、コロナウイルスでも定時株主総会はやる必要があります。
しかし、昨日、経済産業と法務省でコロナウイルスに関する株主総会についての対応が公開されています。
(1)コロナウイルスの感染拡大防止のために、出席を控える旨を呼びかけてもよい。この場合は、書面や電磁的方法での議決権行使の方法を案内すること。
(2)コロナウイルスの感染拡大防止のために、合理的な範囲で会場に入場できる株主の人数を制限してもよい。この場合、会場に事実上株主が出席していなかったとしても、株主総会の開催は可能。
(3)(2)の場合に株主に平等に登録機会の提供ができれば、出席株主の事前登録制を採用し、優先的に会場に入場させる対応も可能。
(4)発熱や咳の症状がある人に、入場を断ることや、退場を命じることも可能。
総会時期の延期はできないのか?
結論としてはできます。
定時株主総会は一定の時期に招集すればよいとされていますので、3ヶ月以内に行う義務はありません。
そのかわり、基準日の恩恵にあずかれませんので、この点は注意が必要です。
どういうことかといいますと、上場企業では、日々株式の売買が行われ株主が流動的ですので、基準日をもうけておかなければ、株主を逐次把握することは困難です。
基準日の恩恵にあずかれなければ、総会開催日の株主を株主として扱うことになります。
これは事前に株主へ招集通知が必要な点を考えると開催が不可能(開催できても、一部の株主に招集通知が有効にできていないという問題がある。)なのです。
これを防ぐためには、「基準日公告」という方法を利用し、基準日の2週間前までに公告を行うほかありません。
基準日公告を行えば、例えば「6月末日時点の株主を7月30日開催の定時総会の株主とする」などという方法がとれます。
コロナウイルス次第では、この方法も有効な対応かもしれません。
コロナウイルスの状況によっては、法人税の申告期限の延長申請も可能とのことです。
ハイブリット型バーチャル株主総会とは
取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所で株主総会(リアル株主総会)を開催する一方で、リアル株主総会の場に在所しない株主がインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加/出席することができる株主総会をいうとのこと。
このあたりは、今後活用がどのようにされていくのか、期待ですが、これが普及すると大きく時代が変わりそうですね。
いずれにせよ、コロナウイルスの感染が拡がらないことを祈ります。
法務省:定時株主総会の開催について
経済産業省:株主総会に関するお問い合わせについて
【司法書士 山 添 健 志】
プロフィール