養子縁組は何度でもといいますが ☆遺言・相続vol.8④☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
全文を自分で書く自筆証書遺言の使いづらいところを、民法(相続関係)等の改正に盛り込んで
もっと、利用してもらおうという動きがあります。
私自身は、自筆証書遺言には、3つの難点があると考えています。
1つは、方式が難しいこと
特に、訂正箇所については、「署名及び押印」が必要とされているところが、
通常の法律文書の扱いとは違うところです。
全文自筆自体も、高齢者にとっては、辛いところですね。
2つは、無効になるケースが多いこと
方式が備わっていないことによる無効に加えて、専門家の関与なしに作成する遺言書は、
内容において、法律効果が生じないものが多くあるということです。
遺言は遺書ではありません。遺言が認められる事項というものは、限定的なものです。
3つは、保管場所に困ること
せっかく書いた遺言も、無くなってしまったり、見つからなかったりで、
日の目を見ないことがあります。
厳重に保管するのも、分かりやすく置いておくのも、心配なことです。
法制審議会民法(相続関係)部会が出した中間試案によれば、
1つ目の、方式については、
これを緩和し、不動産の表示や預貯金の口座などの特定に関するところは、
自筆でなくても良いという考えを示しています。
訂正箇所についても、「署名」のみで足りるとしています。
3つ目の保管については、
一定の公的機関に、遺言書の原本の保管を委ねることができる制度を創設するとしています。
自筆証書遺言が、公正証書遺言のメリットに近づいてきた感がありますね。
公証役場の事務量にも限界があり、高齢者は増加する一方で、
遺言のない相続は、相続人の確定作業に多大な労力と知識が求められます。
相続人の権利意識から、遺産分割調停事件も増加の一途を辿っています。
国としても、遺言を普及させたいと思っているのではないでしょうか。
今の時点では、やはり、公正証書遺言をお勧めしますが、
それでも、公証役場は敷居が高い、費用も気になる、自分でゆっくりと書き上げたいというニーズに対しては、
専門家としてできること、即ち、
方式に不備がないか、
内容に間違いがないかのチェックをして、
安心して遺言書を作成して頂けるよう、正面から取り組んでまいります。
笑顔の和が広がりますように。
司法書士佐井惠子