成年後見人はボランティアですか? ☆成年後見vol.3⑨☆
後見人は、本人に代わって様々な法律行為をします。
陥りがちなのは、よかれと思って、ひとりで決めてしまうことです。
本人が選択して決めることの手助けをすることが、後見人の重要な役割です。
父の具合が悪くなったときでした。
病院のことや、身の回りのことなど、てきぱきと、何でも私が段取りすることが良いこと。
父を煩わさないで、私が仕切っていました。
ところが、父からダメだしです。
「何でも勝手に決めてくれるな。自分のことは自分で決める!」と、言うのです。
えっ?!体の辛い時は、良きに計らえと思うものではないの?と、心の中で思ったものです。
でも、自分がこれからどうなるのか、まな板の上の鯉状態では不安なのは確かです。
一から十まで相談するのは逆に煩わしいと叱られるかもしれませんが、
父の状況をみながら、大切なところだけでも、一緒に決めていけば良かったと思います。
成年後見人として法律行為をするときも、同じこと。
先回りして判断してはいけない。
本人の意思を尊重して、本人が判断できるよう支援する、この姿勢が大切です。
時間がかかりますし、どうかな?と思うような判断もあります。
けれど、本人と後見人がいつも同じ意見だということはあり得ないことです。
それを前提とすれば、それも良いかと思えます。
時に、手術をするための同意を求められることがあります。
後見人には、同意をする権限がありませんが、
本人に同意を求めても仕方が無いと思ってのことでしょう。
親族もいない方で、主治医の先生と相談して、本人と私が一緒に説明を受けることにしました。
病気の説明、何が原因か、治療の方法、それによる効果と副作用。
そういったことを、素人にも分かるように、本当に上手に説明いただきました。
私も、良く理解できたと思いますが、本人も、
「そういうことなら、手術してもらわなあきませんな。」そう言って、同意書に署名をしていました。
立ち会った私は、
その時、本人が心から手術が自分には必要だと思ったことは間違い無かったと思います。
本人に丁寧に時間をかけて説明して下さった、その姿勢は、
後見のお仕事をする場面でも、同じ様に大切だと思います。
司法書士佐井惠子
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