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相続分を修正する寄与分は有効か ☆遺言・相続vol.10①☆

2015年12月7日

テーマ:相続

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
相続の場面において、被相続人の療養看護を担ってきた相続人と、そうでない相続人との間で、
相続する財産に軽重があると思いますか?
家庭裁判所の判断はどうでしょうか?

「共同相続人」中に、「被相続人の財産の維持又は増加」について「特別の寄与」をした者がいる場合に、
衡平の観点から、法定相続分を修正する制度として昭和55年民法改正によって
「寄与分制度」が導入されました。
当初、「家業従事」という場面を想定していたものが、
最近では主に「療養看護」の場面において寄与分を認めて欲しいという主張に変わってきています。

遺産分割調停の場面でも、子どもの扶養義務の範囲ではないかだとか、
介護したというだけでなく、それが「特別の寄与」と言える程のものかなど。
主張しても認めてもらいにくい状況にあることに驚きます。

寄与分の審判となると、「療養看護」は、期待するほど「特別の寄与」とは評価されず、
その認容率は20%を切っている状況です。
つまり、「寄与分」は殆ど認められません。
客観的な資料が不足しがちで、介護認定という大雑把な基準では足りなくて、
被相続人が、何が出来なくて、どういう介護が必要であったか、
例えば、お風呂には着替えが一人でできるか、身体を洗えるか、洗髪はできるか等々、
しかも、1年前の状況、2年前はどうであったか等と、
細かく立証していくことの難しさがあります。
一方で、家庭内のことで見えにくいため、簡単に認容しにくい裁判所の立場もあるとも。

相続法改正の議論において、療養看護型の寄与分の導入は検討されているようですが、
まだまだその行方は分かりません。

寄与分は、そんなに力強い見方という訳ではなさそうです。
亡くなった後、寄与分による相続分の修正を期待するより、
更には、遺言を書いて、療養看護した人に配慮するということに留まらず、
当事者が元気なうちに、「いつも、ありがとう」という言葉と共に、
契約の世界で解決をしておく、そのお手伝いをしたいものです。

私たちは、笑顔の和を広げます。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp
☎06-6365-1755

この記事を書いたプロ

佐井惠子

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子(佐井司法書士法人)

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