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電子記録債権による中小企業金融  

2012年11月28日 公開 / 2014年5月23日更新

テーマ:企業法務

コラムカテゴリ:法律関連

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
2012年11月27日の日経新聞朝刊一面に、「電子債権の利用急増」
「手形不用、1年で倍の5万社に」という見出しが。

銀行が根抵当権を設定して債務者に対する債権を担保するとき、
従来、その被担保債権の範囲といえば、「銀行取引、手形債権、小切手債権」と決まっていたものです。
ところが、平成24年4月27日法務省民二第1105号回答で、
被担保債権の範囲を「銀行取引、手形債権、小切手債権、電子記録債権」とする
根抵当権の設定の登記申請は、受理して差し支えないという回答が出ました。
電子記録債権が、かなり普及してきたのかなと思っていたら、先の日経新聞です。

債権残高は1兆円を超えるという「電子記録債権」とはどういったものでしょうか。
「電子記録債権」とは、電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件とする、
既存の指名債権・手形債権などとは異なる新たな金銭債権です。

債権者と債務者がそれぞれ電子記録債権機関に債権額や支払期日、債権者、債務者、利息、損害金などの
「発生記録」(私は、登記のようなものと、イメージしています。)の請求をし、
記録原簿に「発生記録」を行って電子記録債権は初めて発生します。
電子記録債権を譲渡するときには、譲渡人と譲受人が電子債権記録機関に「譲渡記録」の請求をし、
記録原簿に「譲渡記録」を行うことで電子記録債権を譲渡します。
銀行の債務者口座から債権者口座に支払いが行われると、電子債権記録機関は銀行から通知を受け、
「支払等記録」をします。発生から消滅まで、全て「見える化」するわけです。

電子記録債権の譲渡について、権利者として債権記録に記録されている者が無権利者であったとしても、
そのことを知らずに電子記録債権を譲り受けた者は保護され、
債務者は、原則として、電子記録債権を譲受した者に対し、権利発生の原因となった事情等を理由に
支払いを拒むことはできないといった、取引の安全確保のための法的な手当がされています。

売掛債権等の譲渡については、電子記録債権として記録することを発生や譲渡の要件としていますので、
二重譲渡のリスクはありません。
債務者への通知もしくは承諾といった指名債権譲渡の対抗要件を備える必要はありません。

手形と違って、印紙を貼る必要もありませんし、紛失の心配もありませんし、
登記の様に、登録免許税も必要ありません。
経費削減にはメリットがあります。

手形のように、支払い期日前に銀行に譲渡して現金化したり、他に譲渡してその支払いに代えることは中小企業金融に使えます。
手形は分割できませんが、電子記録債権ではいくつかに分割して譲渡することができることもメリットでしょう。

平成20年12月1日に電子記録債権法施行されて、間もなく4年。
中小企業金融としての資金調達方法の選択肢が増えました。
地方銀行や信用金庫まで取り扱うようになれば、地方においても利用しやすくなりますね。

笑顔の輪が広がりますように。

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司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp


この記事を書いたプロ

佐井惠子

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子(佐井司法書士法人)

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