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コラム

株主に相続人がいなかった場合 ☆企業法務vol.2⑯☆

2011年11月20日

テーマ:企業法務

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 企業法務相続 手続き

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
会社の株主に、経営者や親族のほかにも従業員やお取引先といった場合がありますね。
普段、その株主の配偶者や子どもの有無については、分かっていることでしょうが、
シングルの株主が、親、兄弟さらには甥姪がいるかどうかまでは、
把握していない場合が多いのではないでしょうか。

相続人なくして死亡してしまった株主がいる場合、会社はどう対応しているのでしょうか。
会社法に基づいて売渡請求をすることができるのは、相続人が存在してこそです。
どうやら、会社法では解決しそうにありませんね。

株主の遺産が、会社の株式だけということはなくて、
誰でもが、一つは銀行口座を持っているでしょうし、特別縁故者がいるかもしれません。
他に誰もやってくれる人がいなければ、
会社は利害関係人として、相続財産管理人の選任を請求することができます。

管理人が選任されると、第一回相続人捜索公告の意味もある相続財産管理人選任公告をし、
2か月以内に、相続人がいることが明らかにならなかった場合には、
第二回相続人捜索公告の意味も含め、すべての相続債権者・受遺者に対する債権申出公告をし、
2か月以上あけて、この期間が満了してもなお、相続人あることが明らかでないときは、
いよいよ最後の相続人検索公告を6か月以上の期間を定めて行うこととなります。

ここで、ようやく相続財産管理人は清算を開始し、
会社としても、管理人と合意による自己株取得を行うこととなります。
会社に財源がない場合には、経営者個人が買い取るのもいいでしょう。

中小企業は、株主一人ひとりの相続にも影響を受けます。
株主が相続人なくして死亡した場合、そのための期間や費用を考えると、
会社としては何もしないというのも、一つの方法かもしれませんが、
やはり、初めから株主構成には留意しておきたいものです。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp

この記事を書いたプロ

佐井惠子

家族の問題(成年後見、相続、信託)の専門家

佐井惠子(佐井司法書士法人)

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