医療法人の理事の任期にご注意下さい ☆企業法務vol.4③☆
こんにちは、司法書士佐井惠子です。
せっかく、経営者が後継者のために株式をのこす遺言を書いていても、
それをひっくり返す定款規定があります。
ほとんどの中小企業においては、株式を自由に譲渡できないように、
定款に、株式の譲渡制限規定を置いています。
でも、この規定は、相続や合併などといった一般承継については射程外でした。
「株主とのお付き合いは、一生ものどころか代々まで」というのは、こういうことです。
(私が、勝手に言っているのですが・・・。)
でも、第三者はもちろんでしょうが、相続人の中でも、あの人だけは・・・って、ありますね。
そこで会社法では、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対して、
会社はその株式の売渡請求ができる旨を定款に定めることができるようになりました。
これにより、ネズミ算式に増えていく株主数を抑制したり、
会社にとって不都合な者が株式を所有することを回避できることとなります。
株主甲が、A社の株式を乙に相続させると遺言していても、
会社が、相続人に対して、売渡を請求することができる定款規定があれば、
売渡請求をすることができます。
遺言も上回る効力のある規定ですが、
株主総会の特別決議で売渡請求の可否を決する際、たとえ乙が90%の株式を保有していても、
乙は、その議決権を行使することができませんので注意が必要です。
また、この請求権は相続を知った時から1年以内に限って行使できます。
売買価格は、会社と相続人間で協議して決めますが、整わなかったときには、
売渡請求日から20日以内に裁判所に対して売買価格の決定の申立てを行うことができます。
もっとも、会社法には財源規制があります。
剰余金の分配可能額を超える買取りはできませんし、債務超過や欠損金があるような場合には、
残念ですが、そもそも売渡請求をできません。
やっぱり、株式会社において、株主権は絶大です。
司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.jp