医療法人の「特別代理人」 ☆企業法務vol.1⑲☆

佐井惠子

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テーマ:企業法務

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
社長が、株式会社を代表するように、医療法人においては、理事長が法人を代表して様々な法律行為を行います。
ところが、一定の場合には理事長が法人を代表できなくなり、「特別代理人」を選任して代役をお願いすることがあります。
この「特別代理人」が、どういうものなのか、「保証人」とは違うということを、
就任をお願いする方に、説明して欲しいというリクエストがありました。

理事長は、医療法人を代表して法律行為をするとき、
法人の利益のために必要な判断をすることが求められているわけですが、
理事長個人との間で、法人の利益を害するおそれがある一定の取引類型においては、
医療法において、個別に法律行為の善し悪しを判断するのではなく、
一律に理事長は法人を代表できなくなり、その代わりに、当該取引についてのみ、
監督 官庁選任よる特別代理人が法人を代表して、理事長個人との間で法律行為を行い、
もって医療法人の利益を守ろうとしています。

特別代理人が必要となるケースは、
 例えば、
1. 理事長個人の所有資産を医療法人が賃借する契約
2. 理事長個人と医療法人間の資産の売買契約
3. 理事長個人の負債を医療法人に引き継ぐ契約
    ※医療法人に所有権を移転した資産の当初取得時に発生した負債に限る。
4. 理事長個人から医療法人が利息を付して資金を借り入れる契約
5. 理事長個人と医療法人の基金拠出契約
 のような場合があります。

特別代理人選任を申し立てる際には、契約書類を監督官庁が事前に確認し、その上で特別代理人の選任がなされるわけです。
特別代理人は、一つの法律行為毎に選任され、その法律行為が終われば、その任務は終了します。
もちろん、特別代理人には、当該法律行為が、法人の利益を損なわないかどうかの判断はしていただかなければなりませんが、
それは連帯保証人のような金銭的負担を直接負うものとは異なります。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com

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