東京電力の定款 その特殊性 ☆企業法務vol.1⑮☆

佐井惠子

佐井惠子

テーマ:企業法務

こんにちは、司法書士佐井惠子です。
2011年6月28日開催の東京電力株主総会は、荒れた模様です。
定款変更の株主提案があったということで、調べてみました。
株主提案の条項はなかなか難しいところですが、
むしろ、社長でなく、会長が総会を招集し、総会の議長を務めるという定款規定に、
東京電力の特殊性をみました。

株主提案した条文は、
第7章 原子力発電からの撤退
第41条 我が社は、古い電子力発電から順に停止・廃炉とする。
第42条 我が社は、原子力発電所の新設・増設はしない。

これに対して、取締役会はこれに反対し、その理由として、
商法時代の定款の考え方を持ち出して、
定款は、主として会社の組織、事業目的、株式等の基本的事項を定めるものとされている。
こういったことは、業務執行に関する事項であり、取締役会の決定に委ねるものだと、意見を付しています。
会社法となって、定款規定は自由に盛り込むことができるようになっていますが・・・。
東電側としては、そう答えるしかないのでしょう。

私なら、同じ定款変更であっても、
その前文で「福島原発の事故を教訓とし、原子力発電からの脱却を目指す」
ということを掲げることを提案します。結果は同じですが。

ところで、それよりなるほどと思ったのが、この会社は社長ではなく会長が一番偉いということを発見!
株主総会と取締役会の招集権者と議長は、社長が行うという一般的な規定を置いた上で、
会長という条文を第28条に設け、いずれも会長が行うと読み替えると定めているところです。
現職会長が退任したときには、この第28条を削除すればすむようになっています。

定款を読むと、会社の姿が見えてきます。

司法書士佐井惠子
http://sai-shihou.com

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