「相続させる」遺言にも遺言執行者の定め 裏技?お節介? ☆遺言・相続vol.7⑪☆

佐井惠子

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テーマ:相続




こんにちは、司法書士 佐井惠子です。
遺言を書く時は必要なくても、後々困ったことにならないために、なくてもいい遺言執行者を、あえて選定しておくことがあります。

昨日紹介した、登記情報第593号の「登記官の目」という記事を読んでいて、お話することを思いつきました。

遺言書の内容が「財産のすべてを妹である甲に相続させる。」という遺言。
遺言者は、子どもや孫がいない、両親や祖父母ともにいない方で、兄弟姉妹のうち妹甲に財産を残そうとしていることがわかります。
この時点では、妹甲は第1順位の相続人です。

ところが、遺言書が作成されてからご本人が死亡するまでの間に、年月があった。
妹甲よりも先順位の資格を有する相続人が出現したとしたら。
例えば、子どもが生まれたり、あるいは認知をしたり、養子縁組をしたりすることは考えられます。

本人の、妹甲に残すという気持ちが変わらなければ、遺言書を書き直す必要もない・・・と、思いがちですが、
第1順位相続人以外に遺す場合は、「相続させる」でなく「遺贈する」となりますので、本当はバツなんです。
登記官は、「遺言者としては甲さんに遺したいのですね」と、ぐっと読み替えてくれるので、ぎりぎりセーフとなります。

でも、登記官にたどり着く為には、相続人全員の協力が必要となります。これはなかなか難しい。
そこで、家庭裁判所に遺言執行者選任申立ということに。
遺言執行者を選定していなければ、甲に登記するにもなかなか大変ですね。

「相続させる」遺言では、本来、遺言執行者は定めません。執行者がいなくても、相続人本人で用は足るためです。
そこを、あえて選定しておけば、事情が変わってもスムーズに遺言執行が進みます。
「遺言執行者なんていらないのに、わかってないんじゃないの?」と思いそうな遺言執行者の定め。
実は、いろいろ考えているのです。

司法書士佐井惠子
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