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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

国が出来る事は、避難指示だけなのでしょうか。

2019年3月29日

テーマ:【免震住宅・地震対策】

コラムカテゴリ:住宅・建物

南海地震の前兆を感知したら、避難指示が発令されます。

南海地震の前兆を感知したら、避難指示が発令され、一週間程度避難施設で待機する事が定められました。一週間過ぎてもなにも起こらなければ、注意喚起に切り替え、通常の生活に戻れるそうです。
しかし、避難を促すだけでは、人の命は守れても、生活基盤を守る事が出来ません。その部分は本当に何もできないのでしょうか。

建築基準法の改正こそ重要課題です

現在の建築基準法は、人の命を守る為の最低ラインを定めた法律です。しかし、耐震構造主体の、昭和26年に制定された法律を改正しながら踏襲して、使用している為、最新技術を取り入れるのに、大変ハードルの高い法律となっています。
例えば、木造住宅に免震支承(装置)を取り付けるのに、超高層ビルの構造設計に用いる、限界耐力法と云う複雑な構造計算を行った上、適合性判定と云うダブルチェックを指定検査機関に申請しなければなりません。これは、民間機関主導で、免震支承が開発され、これを国が認定すると云う方法を取っている為です。
逆に言えば、国が率先して免震構造に取り組み、免震支承がもっと簡単に普及するような、仕組みを設ける事が必要なのではないでしょうか。
民間機関で開発された、免震支承は開発費に多大な費用を要し、それを数少ない市場で売りさばかねばならない為、非常に高価なものになっています。
とても、国民全体に広く普及する様な、状態ににはなっていません。
免震支承の有用性は、東日本大震災で、大変な被害を受けた福島原発でも、重要免震棟だけは被災を免れた事でも証明されています。

もっと国が出来ること

今の建設業界は、70年も前の法律に縛られて、身動きが取れない状態にあります。民法や刑法の様に国民のモラルを問う法律であれば、おいそれと根幹を変更する事は難しいかと思いますが、建築基準法は技術指針を定めた法律です。新しい技術が発明されれば、それに則り柔軟に対応していく努力が必要な法律であるはずです。
政治家に、もっと技術畑の人がいて、この事に気付けば、熊本地震や阪神大震災の様な不幸な災害を減らす事が出来るのです。

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