地震が起きたら大阪平野に安全な場所はない。
闇雲に吹抜けを造ると小さな吹き抜けでも地震に弱くなります。
先日、ラフプランが送られて来まして、構造検討を行って欲しいとの事でした。
見てみると、二階部分に畳で三畳分の吹抜けがあります。吹き抜けは勿論床を張りませんので、その部分は水平剛性が弱くなります。つまり、間取り図をみていて、横とか縦とかからやって来る地震力に対しては、筋交等の耐力壁が家の変形を抑えてくれるのですが、間取り図の斜めの方向から来る地震力に対しては、床に剛性がないと、平面的に菱形に変形し易くなります。
そう言ったヶ所は吹き抜けばかりでなく、階段部分も人が上下に行き来する為、床がありません。(階段の段板は床ではありません)
その家は、階段と吹き抜けの位置的なバランスが悪く、三畳程度の小さな吹き抜けだったのですが、地震が来ると持たない事が分かりました。
構造計画がしっかりしていれば、8畳ほどの大きさの吹抜けも作れ
だから、吹き抜けは地震に弱くなってしまうので、造らないと考えるのは早計です。吹き抜けには、一階と二階を空間的につなげるほか、空気環境を一階と二階の差を無くすと云う意味もあり、いざとなれば床を貼るだけで一部屋増築出来てしまうメリットもあります。
吹き抜け周囲に耐力壁線を設け、水平構面を区分け出来れば、水平剛性の問題は解消します。小難しい話しですので省略しますが、構造計画をしっかりと行えば、8畳大の吹抜けを設けても、耐震等級3を取得する事は難しくないと云う事です。
吹き抜けを有効に活用しよう
吹き抜けと聞いただけで、過剰反応を示し、「暑くなる(寒くなる)から必要ない」とか「地震に弱くなるからダメ」とか、即座に云われる方がおられます。
省エネ計算をロクにしないハウスメーカーや、構造計算を無視しているビルダーの、失敗経験に基づく判断で、吹き抜けのイメージは良くありません。
しかし、吹き抜けの良さは一度体験してみると、吹き抜けの無い家がみすぼらしく見えるほど、快適で心地よいものです。
闇雲に吹抜けを造るのではなく、しっかりと温熱環境・構造計画を行って吹き抜けを楽しみましょう。