断熱材は省エネに重要ですが、断熱材の良否で全てが決まる訳ではない。
ラフプランや基本設計で家を建てると紛争が発生します。
注文住宅は、何も無いものに対して値段を付けて、その値段で工事をしてもらう事で成立します。建築請負業の請負とは、影もカタチも無いモノに対して、値段を付ける商売なのです。ですので、当然ながら何某かの担保が必要になるのです。
銀行が利用者にお金を貸す時、担保無しには貸してくれません。利用者が何かの事情で返済不能になった場合、担保を差し押さえて、それを返済金に充当する事で貸したお金を保全するのです。
ラフプランや基本設計では、建物は建てられません。何故かと云うと、建物を建てる為の情報量が圧倒的に少ない為です。
ラフプランとは?
建築士が、敷地を見て、家族構成やその他簡単に入手できる情報から、その敷地にどの様なプランが納まるのかを示したものがラフプランです。ラフプランは所轄行政との、打ち合わせや、土地のインフラ情報と言ったものが入っておらず、建築費はおろか、外構費その他諸費用も概算でしか出す事が出来ません。
間取り図面と簡単な完成予想図程度の情報では、建物は建てられないのです。仮に幾らで請け負いますと云う業者が現れれば、紛争を覚悟した方が良いでしょう。先程の例で言うと、無担保でお金を貸す様なものです。
基本設計とは?
ラフプランをもう少し、発展させて、図面の形態を整えたモノが基本設計です。基本設計には、敷地の特性を加味して、法的に問題無く建てられる具体的な案が盛り込まれます。仕上げ表も整い、それを根拠に工務店は、概算見積もり程度なら作成する事が出来ます。概算見積もりは、その金額で工事を請け負う事を約束するものではありません。工務店が過去の実績を元に、凡そこの程度の予算組なら、建築可能ですと言う根拠を示した見積もりが概算見積もりです。銀行のローン申し込みに使えますが、概算見積もりで請け負い契約を交わす工務店はいません。仮に概算見積もりで請け負いますと云う業者が現れれば、紛争を覚悟した方が良いでしょう。先程の例で言いますと、「預金通帳にこれだけお金がある」云われ、と預金通帳を見ただけで、お金を貸す様なものです。
実施設計とは?
実施設計とは、建築主の要望を詳細に渡り聴取し、それを図面に反映させた設計図書です。ラフプランは図面量にして1~2枚程度、基本設計で数枚程度ですが、実施設計図書になると、最低でも30~40枚前後になり、情報量が圧倒的に違います。このくらいの図面量が無いと工務店さんは詳細な見積もりが起こせないのです。
お客様の意図を忠実に反映させた設計図書と、その設計図書から拾い出した見積書をセットにして、この内容で工事を請け負います。図面通り(見積書通り)施工しなかった(出来なかった)場合は違約金を支払います。と云う契約書を担保にして、初めて建築主にとって不利にならない契約が交わせるのです。
実施設計と見積書と云う担保があって初めてお金を工務店さんに託す事が出来るのです。