断熱材は省エネに重要ですが、断熱材の良否で全てが決まる訳ではない。
換気の種類
換気方法には一種から三種までの方法があります。外気の流入と室内空気の流出を強制的に行うかどうかで、呼び方が変わります。
空気の流入・流出を両方とも、強制的に行うのを第一種換気。
空気の流入だけ、強制的に行うのを第二種換気。
空気の流出だけ、強制的に行うのを第三種換気。
と呼びます。換気を確実に行えるのは第一種換気です。第一種換気には、それ以外にも大きなメリットがあります。換気していても、室温の変化が少ないと言うメリットです。第二種換気も第三種換気も、外気は大気温のまま流入しますが、第一種換気は吸排気の際に熱交換器を通して熱交換が可能になり、優秀な交換器でしたら、熱の回収率が90%を超えるものがあります。
外気が0度で、室温が25度でしたら、22.5度で入って来ると云う事です。熱交換しなければ0度のまま流入すると云う事です。エコな住宅を目指すなら、第一種換気は必須です。
二つの第一種換気
第一種換気には、熱交換器の機能の違いにより二種類に分かれます。全熱換気と顕熱換気です。
全熱換気とは、熱と水蒸気の両方を回収するものです。水蒸気と温度とは密接な関係があり、気温が高いほど多くの水蒸気を取り込む事が出来ます。気温が下がると少しの水蒸気しか取り込めません。空気が冷やされて水蒸気が空気中に取り込めなくなると、水蒸気が蒸気となり、水として目に見える様になります。結露水は水蒸気が冷えたガラス面や壁面に触れて水になった状態です。
温度差のある場所で、熱交換すると、必ずそこには結露水が発生する可能性があると云う事です。冬場、冷たい乾燥した空気が熱交換機に入って来た場合、全熱換気しなければ、暖かい空気になった場合、益々乾燥して家の中に入ってしまいます。夏場は逆に、暖かい湿潤な空気が、熱交換器で冷やされて、余計に湿度の高い空気となって室内に流れ込みます。室温は低いのに汗が引かない環境になるのです。
ですので、全熱換気は日本の様な風土に向いています。
顕熱換気とは、水分は改修せず、熱だけを交換する方法です。上記の事から、顕熱換気は日本では多くは用いられず、夏乾燥して冬湿潤な気候の地域で、用いられています。では何故日本にも顕熱換気の熱交換器があるのでしょうか。実は、水分を交換する際に水分子より小さなウィルスも取り込んでしまうのではないかと云われている為です。インフルエンザの患者が家に発生した場合、全熱換気の家であれば、家の中全体にインフルエンザウィルスが充満するのではないかと云う懸念です。全熱換気のメーカーに言わせると全熱換気が原因で、病原菌が広まる事が実証されたデータが無い、風評だと云う事ですが、可能性は捨て切れません。
全熱換気を選択するなら、殺菌効果の期待できる空気清浄機が別途あった方が無難かと思います。