木造耐火建築物が注目されています
収益物件で木造耐火建築物が増えています
写真は今年初めに、竣工した神戸市北区の有料老人ホームです。木造二階建て、延べ床面積は1200㎡を越えます。兵庫県は条例で800㎡を超える福祉施設は耐火建築物にしなければなりません。本来であれば鉄骨造が妥当な建物です。しかし、オーナーは木造を選択しました。
木造のメリットに注目した為です。最も大きいのは工事費の安さです。鉄骨造の価格が一昨年より徐々に高騰し始め、現在の坪単価は120万円前後です。数年前までは70万円前後で推移していました。鉄筋コンクリートでも同様で、坪120万円強で推移しています。東京オリンピックの影響で、資材の多くが東京に優先的に回っているためです。鉄骨造に必須のハイテンションボルトが現在三か月待ちの状態で、年度末に竣工するのが当たり前の公共建築物も5~6月竣工にならざるをえなくなっています。木造建築物もそれにつられ、徐々に価格が上昇していますが、それでも坪単価70万円程度で推移しています。木造を耐火構造にしても坪単価で90万円を超える事はありません。
減価償却が早い
その他のメリットとして、減価償却が早いと云うメリットがあります。鉄筋コンクリート造でしたら、40年ほどの償却期間となりますが、木造の減価償却は20年ちょっとです。投資した金額を早く償却出来ますので税法上黒字が出難く、実質利益を温存する事が出来ます。
また、償却を早期に行えますので、利益率が落ちれば建物を解体して、次の収益が見込める業種に転用すると云う、身替りの速さも魅力の一つです。例えば有料老人ホームは現在は需要者が多く、建てれば満室になりますが、団塊の世代がこの世を去る頃には老人の数も減り老人ホームは価格競争を強いられます。そんな時でも木造であれば、償却期間を終えていますので、さっさと解体して、月の事業に取り組む事が可能です。
解体費用も安いのが木造の魅力の一つです。鉄筋コンクリート造の解体費用は坪当たり6~7万円ですが、木造であれば3万円前後です。
欠点は技術者が少ない事
普通の木造であれば、従事する技術者は豊富にいますが、木造耐火建築物に手慣れた技術者は多くはいません。
構造体が木ですので、構造体に火が回ってしまえば、簡単に焼け落ちてしまいます。その為、構造体を貫通する部位には石膏ボードを二枚張りした貫通孔を設けなければなりません。その他構造躯体を炎から守る様々なノウハウを熟知していないと、経済的な設計は出来ません。
もしも、木造耐火建築物にご興味があれば、ご連絡下さい。