収益物件は木造耐火建築の時代です。
木造耐火構造の全面告示化がなされています
平成30年3月に木造耐火構造の全面告示化がなされています。これまでは、外壁・間仕切り壁の耐火構造の告示はありましたが、それに加え、床・屋根・独立柱の告示化もなされました。これにより、特別な講習を受ける事なく、建築士であれば誰でも木造耐火建築物の設計が出来るようになりました。
何がメリットか
木造住宅の場合、防火地域ではこれまで100㎡以下の準耐火建築物でないと、木造住宅は不可能でした。木造耐火建築物が手軽に建てられる事により、防火地域内でも床面積の制限を受ける事無く、木造住宅の建設が可能になりました。
また、地域産材を用いる事により、助成金も受けられる様になりました。
住宅以外の建物は?
これまで、幼稚園・老人ホームと云った施設では、二階以上に用途に供する施設があれば、耐火建築物にする事が条例等で決められていましたが、割高になる鉄骨造や鉄筋コンクリート造に頼ることなく、木造で建てられるようになります。
告示では一時間耐火まで告示化されていますので、4階建てまでの建物であれば、木造での建設が可能になります。木造四階建て共同住宅も可能になるのです。
工事費が安い!
木造の特性は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ、重量が軽い事です。重量が軽ければ地盤に及ぼす影響も少なくて済み、基礎工事や杭工事を削減する事が可能になります。収益物件ではこれが最大のメリットになりますし、公的な建物であれば、余剰の費用を施設費に充填する事も可能となります。
建物の用途で工事費は変わりますが、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の60%~80%程度の費用で済みます。
今まで当たり前の様に鉄骨造で建てられていた、ロードサイド店舗や収益マンション、法的制限の大きい老人ホームや幼稚園・保育園が、木造で建てられて行く様になるでしょう。
減価償却が短い
木造の原価償却期間は22年です。鉄骨造の34年、鉄筋コンクリート造の47年に比較して、償却期間が短く税引き前利益を減らす事が出来ます。
木造の実質的な耐用年数は、昨今の技術革新により、10年前の木造建築物を比較して、飛躍的に伸びています。また、木造の特性として、傷んだ部分だけを取り換える事により、新築と同様の耐力を得る事も可能です。また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ解体費用が安く、原価償却が完了すれば他の用途に建て替えると云った事業にも向いています。
今後の課題
今回の告示改正は、木構造部分を不燃材で、すっぽりと覆ってしまう構造の為、出来上がりの段階では木は殆ど見えなくなります。木のぬくもりや風合いを楽しもうと思えば、木の構造部分を一旦不燃材で覆い、その上に新たに木の板を張り付ける様な措置を取らないと、木の良さを表現する事は出来ません。
木は燃えます。しかし一旦表面が炭化してしまえば、中々内部に火の影響が及びません。燃えシロを見越して大きめ・厚いめの部材を用いて防火性能を検証する事を燃えシロ設計と呼びますが、準耐火建築物には認められていますが、今のところ耐火建築物には認められていません。今後の課題は木の風合いと、耐火性能をいかに両立させていくかでしょう。
私はこれまで、幼稚園・老人ホーム・ロードサイド店等々も手掛けております。木造耐火建築物に関心がおありでしたら、お気軽にお問い合わせ下さい。