上町断層帯の危険な兆候
防潮堤は機能しない
日経新聞の2015年2月17日付の社説に下記の様な記事があります。
(以下引用)
松井一郎知事は同日の記者会見で「津波から府民の命を守る対策として、防潮堤の基礎や地盤の液状化対策を着実に進めていく」と強調した。
防災予算のうち約208億円は津波・浸水対策の工事費に充てる。総延長計約14キロメートルに及ぶ防潮堤周辺について液状化対策を実施するほか、河口にある水門が津波に耐えられるよう補強する。
府は24年春までに一連の工事を終える方針。
府の試算によると、こうした対策に伴い、南海トラフ巨大地震による府内の想定死者数は現行の約13万3千人から約7200人に減り、経済的な被害も約28.8兆円から約16.8兆円にまで減額するとしている。
津波からの避難体制を強化するため、消防団などへの補助も約1千万円計上した。女性消防団員が軽量な装備を購入する費用などを対象とする。
(ここまで引用)
200億円ちょっとの投資で14兆円も被害が減るのですから、その効果は絶大です。関西空港の一期工事の事業費が2兆円ですので、単純に関西空港が七か所出来るだけの資産が守られる訳です。
しかし、上町断層地震が起これば、津波とは別の水害が襲います。それは河川による地下街の浸水です。大阪は淀川・寝屋川水系のデルタの上に都市が形成されています。地下水が豊富で、深い場所では地上数十m掘らないと固い支持層にぶつかりません。軟弱は地盤はシルトと呼ばれる粘土と土の中間の様な地層と緩い砂層が交互に分布していて、水で満たされています。地震で地下鉄の構造体が破壊されれば河川の水や地下水が流入し地下鉄構内は水没します。
地下鉄淀屋橋駅の改札付近は大川の水面とほぼ同じ高さにあります。その下のプラットホーム付近は川の底より深いので川の直下で地下鉄の構造体が破壊されれば、簡単に浸水し川を堰き止めない限り水の流入を防ぐ手立てがありません。
もしも阪神大震災の時の山陽電鉄大開駅の様な事態になれば、御堂筋線は水没します。
ハルカスもタダでは済まない
あべのハルカスは建物としては日本で最高の高さを誇る現代工学技術の粋が集めた建物ですので、市井の建築士がとやかく言う問題ではありませんが、形状的に見ていて他の超高層ビルとは異なる形状をしているのが気になります。
一般的な超高層ビルは地上階から最上階までほぼ同じ平面形状をしています。しかしあべのハルカスは上階に行くにしたがって極端に平面が絞られています。なだらかに絞られて行くのであれば、綺麗な揺れ方をするかと思いますが、段々が際立つ様な絞られ方をしています。地震が発生した場合、その絞られた隅の部分に地震応力が集中するのでは懸念しています。
そう言われてもあまりピンと来ませんが、日常的に私たちはその応力集中を利用してビニール袋を破っています。
袋を破るとき切れ目があれば簡単に破れますが、ビルの形状が変化するその部分が、袋の切れ目と同じ弱点となるのではと懸念しているのです。
様々な地震波を用いコンピューターシュミレーションを行って、安全が確認されていると思いますので、滅多な事で破壊するとは思いませんが、上町断層が動くと云う事はその滅多が起こる訳ですから不安はぬぐえません。