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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

エコにお金を掛けるのは実は意味がない

2018年6月17日

テーマ:【エコ住宅】

コラムカテゴリ:住宅・建物

高価なエコ装置なんて無意味

エコロジーはエコノミーでないと意味がありません。エコロジーにお金を掛けると、お金を掛けた分だけ環境に負荷が掛かってしまうのです。出来るだけ単純な方がエコロジーです。

この画像はエコハウスを単純化したモデルハウスです。

画像中央の金属パイプがダクトです。
構造は床下からロフトまでダクトを貫通させて、ダクトファンを取り付けます。
夏は床下からロフトに吹き上げ、冬はロフトから床下に空気を送り込むだけです。

特別な、蓄熱タンクや熱交換器を必要としません。北海道や特別寒い地域ならもっと慎重にエコハウスを考えますが、Ⅳ地域以南であれば十分快適な室内環境を得られます。

私の考えるエコ

★冬は太陽高度が下がる為、部屋の奥まで日差しが入り込みます。南面のロフトに開口部を設け太陽光をダイレクトに取り込む間取り構成を考案します。
それによって暖められた空気はロフト付近に集まります。
その空気を、ダクトを通して床下まで送り込むのです。
床下には基礎コンクリートがあります。コンクリートは比熱が高く熱を貯め込む性質があります。昼間基礎に熱を貯め込んで夜に、外気が冷え込む頃蓄熱した熱を放出します。
放出された床下から通気ガラリを通って一階に入り、吹き抜けや階段・通気ガラリを通って、二階へとあがり再度ロフト周辺に上がり、循環を繰り返します。

★夏になると太陽高度が上がり、庇のお陰で室内に日差しが入り込まなくなります。
それでも、このままではロフト部分の温度が上がってしまいます。
そこで今度は床下からロフトに向けてダクトを使って床下の空気を吹き上げます。
地中の温度は年間を通じて16℃前後と一定な為、基礎は夏の大気よりも冷やされています。
またコンクリートは熱容量が大きいので床下の空気を充分に冷やしてくれます。
その空気をロフトまで吹き上げるのです。
吹き上げられた冷えた空気は、周囲の空気より重たいですから、吹き抜けや階段・通気ガラリを通り、床下まで降りて来て再び循環を繰り返します。

年間16と云う地中温度は、夏には涼しく感じ冬には暖かく感じる温度です。その熱を利用すればお金を掛けずに空調機を一台購入したのと同じ効果が得られます。

●実例

通常は、収納部などの、人目に付かない点検のし易い場所を選んで設置します。表面的に見えるのは床に空いたガラリと二階の天井付近の噴出し口のみです。

リビングの吹き抜け等に設けると上記写真の様になります。煙突形状の筒がインテリアのアクセントになります。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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