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コラム
外張り断熱は内断熱よりも優れているのか
2018年5月15日
外張り断熱の特徴
外張り断熱に用いる断熱材は成型板を用いますので、グラスウール等と比較すれば、固いですが指で押さえれば凹む程度の堅さです。ですので、外壁に金属サイディング等の軽いものを使うのであれば、将来的に見てズレ落ちる可能性も少なく、長期に渡り所定の性能を発揮してくれると思います。しかし、塗り壁とかタイル張り等の重い壁を使うのであれば、断熱材の厚み分だけ何の支持もなく外壁を固定する為のビスを貫通させる事になりますので、新築当初は問題無くても長い年月を考えれば垂れ下がる危険があります。
外張り断熱の特徴は、熱橋等の問題を克服できるところにあります。熱橋とは、断熱材が入るべき断熱層を柱等の構造体の為に断熱層が分断される個所を指します。木の柱であれば、木は鍋敷きにつかうくらいですから、断熱効果も期待できますが、鉄骨柱であれば容赦なしに熱は侵入してきます。外張り断熱はそう言った熱橋を作らずすっぽりと外壁を覆う為、外張り断熱の方が優れています。
コストはどうなのか
外壁面積は床面積のほぼ3倍もある大きなエレメントです。ローコストに住宅を仕上げる為には出来るだけコストパフォーマンスの良い材料で仕上げるのに限ります。
コストパフォーマンスはコストと性能の比率です。価格が上昇すれば性能は価格と同様に上昇すると思いがちですが、実はそうでもありません。
断熱材の入っていない家は本当に暑いです。昭和40年代の家は殆ど断熱材が入っていません。その当時の家は力任せにクーラーやストーブに頼っていました。そこに50mmの厚みのグラスウールが登場し、住宅金融公庫などで奨励され断熱に関する意識が人々に芽生えました。次に100mmの厚みのグラスウールが登場しました。断熱性能は倍になりましたが価格は倍にはなっていません。つまり50mmよりも100mmの方がコストパフォーマンスが良いのです。
その後、100mmのグラスウールの性能を上回る商品が続々と開発されました。しかし未だにグラスウールの2倍の性能を誇る断熱材は生まれていません。それに対し価格はグラスウールの4~6倍くらい上昇しています。つまりコストパフォーマンスが悪いのです。断熱性能は確かに上昇しますが、投資した分だけ上昇しているのかと云えばそうでもないのです。
壁さえ断熱すれば良いのではない
熱が侵入する部位は何も外壁だけではありません。屋根面は外壁の1/4程度しかありませんが、夏場の熱量は全外壁面の3倍もの熱量を受けます。外壁にお金を掛けるのであれば屋根の断熱にお金を掛けるべきです。
冬場は床下から冷気が侵入します。床の断熱も意識しなくてはなりません。
そして何と言っても開口部からの熱の侵入が圧倒的です。最近のガラスは複層ガラスしか見かけなくなりましたが、単板ガラスだと窓を開けながらクーラーを掛けているに等しい状態でした。
開口部の断熱にもお金を掛けて、屋根や床下にも十分断熱措置を施した上で予算に余裕があるのであれば、外壁の断熱性能を上げるのは良い事ですが、なにを差し置いても外壁の断熱効果を上げると云うのは、省エネ住宅の発想から外れています。
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