断熱材は省エネに重要ですが、断熱材の良否で全てが決まる訳ではない。
温室は何故暖かいのでしょう。
屋根も壁も全面がガラスに覆われた温室は、真冬でも熱帯植物が繁茂しています。
昼間は太陽光が燦燦と降り注ぎ、北風も入らないため非常に暖かです。
しかし、夜はどうでしょう。ボイラーで温水を作り地中に温水パイプを張り巡らしたり、ヒーターで空気を温めてやらないと、植物は枯れてしまいます。
つまり、温室が暖かいのは人の手で管理されているから暖かいのです。ガラス張りだから暖かいのではありません。
断熱は壁よりも窓の方が大切
熱の伝え安さを表すのに熱貫流率と言う言葉があります。
一時間当たり1㎡の面から何ワットの熱量が移動するかを表し、単位はW/m2・Kです。
数字が大きければ大きいほど熱が伝わりやすい、言い換えると断熱効果の悪い材料と言う事です。
●ガラスの熱貫流率は5mmの厚さで5.9W/m2・Kです。断熱効果の高い断熱ペアガラスでも1.4~1.7W/m2・Kです。
●今断熱材として最も一般的に使用されているグラスウールの熱貫流率は0.045W/m2・Kです。高価な断熱材になると0.028W/m2・Kと言う製品もあります。
●なんと一般的な材料の比較をすれば131倍の差となります。
家の場合、窓の面積より壁の面積の方が大きいので、壁の断熱ばかりが気になりますが、実は窓の断熱が重要なのです。
窓の面積は家全体の20~30%ほどです。それ以外は屋根と壁が占めています。屋根・壁の面積は窓に対して3~5倍多い事になります。
これに対して熱貫流率の差は131倍ですから、窓は家全体の2~3割しかないのに、屋根・壁よりも26~43倍多く熱が逃げている事になります。
高い断熱材を壁の中に押し込んでも、窓が単板ガラスだったり開口面積が不必要に大きかったりすると何の意味も無いという事です。壁の中は安価な断熱材でも良いので、窓にお金を掛けて断熱性能の改善を図るべきです。
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