地震あるあるのウソ

福味健治

福味健治

テーマ:【免震住宅・地震対策】

地震の時によく聞く対処法。本当に正しいのか検証してみました。

トイレは柱に囲まれているから安全?


この写真は熊本地震で一階部分が倒壊してしまった住宅です。二階建ての家が平屋建ての様な状態になっています。この家にも一階にはトイレがあったはずです。
この様な状態ではたとえ便所に逃げ込めても、とても助かるとは思えません。臭い思いをして汚物にまみれながら死を待つのがオチです。
トイレは空間が狭い上に四方には柱が建っており、空間の割に柱の本数が多いです。その為一見頑丈な様に思えますが、在来軸組工法の木造住宅の場合、柱の多さと耐震性とは相関関係がありません。耐震性を向上させるには、耐力壁の多さが必要なのです。
また、トイレの周りだけ耐力壁を沢山入れる事も通常はしません。一か所に集中して耐力壁を設けると剛芯と重心の位置がズレてしまい、返って不安定になる為です。【地震の時トイレに逃げ込んではいけません】

木造より鉄筋コンクリートや鉄骨造の方が安心?


メンテナンスさえ適切にしていれば、木造が特に弱いという事はありません。木造が弱いイメージがあるのは、構造計算(許容応力度計算)に基づく詳細な設計が行われていなかったり、シロアリや雨漏れ対策が十分に行われていなかったりする為に構造材としての木が劣化する為です。
構造材の劣化と云う視点から見れば、鉄筋コンクリートもコンクリートの中性化やアルカリ骨材反応と云った障害もありますし、鉄骨造も鉄材の腐食問題を避けて通れませんので、木造が特に弱いとは言えないのです。
どの工法を選択してもしっかりとした構造設計が必要です。
列車が衝突しても耐えられる鉄筋コンクリート造でも、地震となるとコンクリート自体の重さが災いとなり、脆くも崩れてしまいます。【許容応力度計算を行えば木造でも他の構造に劣りません】

「震度7でも大丈夫!」はだいじょうぶ?


住宅のチラシ広告で「震度7でも大丈夫!」と言う広告をたまに見かけます。
阪神大震災以前は建物の被害状況により震度階を決定していましたが、阪神大震災以降は重力加速度(gal)の大きさで震度階を表現する様になっています。
600galを超えれば震度7となりますが、地震による倒壊例の目立った阪神大震災・熊本地震が900gal程度なのに対し、地震での倒壊例が少なく津波被害の方が目立った東日本大震災では2900galを記録しています。
すなわち東日本大震災の2900galの地震波を利用して安全性を検証した建物でも、阪神大震災や熊本地震の900galの地震波では倒壊する可能性もあるのです。
地震による倒壊と重力加速度(gal)の間には比例関係は無く、galの大きさで定められた震度階では、震度7でも大丈夫と言う宣伝文句は正しくもあり、正しくもないのです。
良心的で誠実な会社であるほど「震度7でも大丈夫」とは宣伝しません。「阪神大震災の震度7に耐えた」や「東日本大震災の震度7クラスでも大丈夫」と言う表現であれば信用出来ますが、単に「震度7でも大丈夫」は誇大宣伝です。
大隕石が衝突して地球が割れてしまうような大変動でも震度階で表現すれば震度7です。震度7より大きな震度階はないのです。
「震度7でも大丈夫!」は東日本大震災の地震波で検証して大丈夫と言っているのか、阪神大震災の地震波で検証して大丈夫と言っているのか、はたまた隕石が衝突して地球が割れても大丈夫と言っているのか分からないのです。【大丈夫の根拠を示さない「大丈夫!」は信用してはいけません。】

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福味健治
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福味健治(一級建築士)

岡田一級建築士事務所

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