お金を掛けずに地震に強い家にする方法
一昨日NHKで地震災害時の火災についての特集をしていました。阪神大震災の時は平均風速が3m前後で、季節風の強まっていた数日前に地震が発生していたら、火災による被害面積は数倍の規模になっていただろうとの事でした。
一度大火が発生すれば、木造・鉄筋コンクリートを問わず被災します。また大火は飛び火で大きくなる事は糸魚川の大火でも再認識されています。火災が発生すれば一刻も早く風上に向かって逃げる事です。火災がまだ遠いからと呑気に構えていると火に取り囲まれ逃げ道を失う結果となります。
南海東南海地震のシナリオとして、津波が臨海部の石油タンクを襲いタンクが破壊されて油が漏れだし、その油が引火して火災になる事を想定していました。これは東日本大震災で気仙沼が経験した火災と同じ様なメカニズムを想定しているものと思われます。
阪神大震災と東日本大震災の二つの火災の経験から、それを大阪平野に当てはめて最悪の条件を想定すると関東大震災で焼死した数万の人々に匹敵するくらいの被害が出るのではないかと言う警鐘です。
実際に起こりうる条件設定でしたので、それなりの重みのある番組でした。私はそれに加え沖積平野で受ける被害の影響に触れていないのが気になりました。大阪平野はご存じの様に沖積平野です。上町台地を除けば上町台地の西も東も泥の上に地面が成り立っています。その泥は粘土よりも粒子の粗いシルトと呼ばれる層で大阪平野では中に粘土層や砂層を挟みながら数十メートルに達します。仮にこのシルト層が液状化すれば重量の重い建物の杭は曲げ応力に耐えられず、杭が折れて倒壊に至るでしょう。一般にはシルト層は液状化しないと考えられています。液状化するのは常水面下にある緩い砂層であるとされ、今までの地震でシルト層が液状化した事例が確認されていない為です。
しかし、私たちはまだ、沖積平野での大地震を経験していないのです。どの様な事が起こるかは実際に発生しないと分かりません。液状化した被害をつぶさに見ていくと家が傾くばかりでなく、土中に埋設された下水管が地上に浮き上がると云う現象も見られます。下水管は通常は管の殆どが空気で満たされています。その空気が浮力となり地上に浮き上がるのです。
沖積平野で仮に同様の事が起これば地下鉄が浮き上がってしまうのではないでしょうか。地下は地震の影響を受け難いと言われてきました。しかし、阪神大震災でも神戸電鉄の大開駅が大きく破壊されています。液状化で構造が変形し地震の衝撃でコンクリートの壁が割れ、そこに河川の水がなだれ込むと云った事が最悪のシナリオになりはしないか懸念しています。
この画像様な事態が、仮に淀屋橋駅で起これば大川や土佐堀川の水が駅の構内になだれ込んできます。津波を待つまでもなく直ぐに水が襲う事になります。行政はこの様な事態が起こりえないと考えているのでしょうか。想定外だと思っているのでしょうか。