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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

住まい再好築【住まい再好築とは?】

2016年2月7日 公開 / 2017年6月8日更新

テーマ:【JHLの活動情報】

コラムカテゴリ:住宅・建物

住まい再好築
誤変換ではありません。
住まいを再び好きになれる様に築き直そうと云う活動です。
NPO日本住宅再生研究所が提唱します。

【リフォームの問題点】

画像は建て替えを決意した人に行ったアンケートです。平成20年の少し古い資料ですが、現在も状況はあまり変わっていません。
建て替え理由の多い順に列挙しますと
耐震性に問題があったから                   54%
築年数を考えると建て替え時期だと思ったから        53%
キッチン・浴室・トイレ等設備の使い勝手が良くなかったから 36%
建物のヒビ・雨漏り・傾きなど全体的に傷んできたから    34%
省エネ性能(住宅の断熱性)に問題があったから       30%
老後の生活に合う住宅にしたかったから            29%
家族人数が変化して住宅が使いづらくなったから      25%
となります。
経産省が発表してる、サンプル数が853件のアンケートですので、信頼のおける資料だと云えます。
ここで専門家として、気になるのが、古くなった(悪くなった)=建て替え と少し短絡的な選択なのではないかと思える結果です。
建て替えを決断した半数以上の方が、「耐震性に問題があった」ことを理由に挙げています。しかし専門家から見れば耐震改修は他のリフォーム工事と同時期に行えば200~300万円で済ませる事が出来ます。
「築年数を考えると建て替え時期だと思ったから」も、もう少し熟考する必要がある様に思います。恐らく慎重な方は不動産の評価をしてもらって、無価値と云う結果を受けて建て替えの決断をされたのだとは思いますが、不動産の耐用年数には経済的耐用年数と物理的耐用年数があることを理解されていない方が多い様に思います。
不動産鑑定士の出す算出根拠は経済的耐用年数によります。例えば「この建物を売るとすれば幾らの価値があるか」と云うものです。殆どの建物は古いと云う理由だけで無価値と判断されてしまいます。
物理的耐用年数と云うのは建築士等の専門家が建物の耐震性能や腐朽程度を把握し、災害等の規模でどの程度まで耐えられるかを想定するものです。
地震等を例に挙げますと10年に一度の地震に堪えられれば耐用年数は10年となり、50年に一度の地震に堪えられれば耐用年数は50年となります。50年に一度の地震がいつ襲うかは判りませんので、実際に耐えられる年数とも云えないのですが、経済的耐用年数よりもより実質的な耐用年数を測る指標だと云えます。
不動産屋さんが無価値と査定しても、建て替えを決断するのは早計だと云う根拠はここにあります。
アンケート結果をみて、専門家がこれなら建て替えも仕方ないと感じられるのは、34%の人が指摘した「建物のヒビ・雨漏り・傾きなど全体的に傷んできたから」だけです。ここまで傷む前に何等かの手を打てば建て替えせずに済んだ建物ですが、ここまで傷んでしまえば、建て替えした方が経済的な場合が多くなります。
他の回答は全てリフォームでも新築と遜色のない改修が可能です。
リフォームでも新築と変わらない位お金がかかってしまう事もあるのも事実ですが、リフォーム・リノベーションで対処する方が経済的で住みやすい事を、まだまだ認知されていないのが、リフォームの問題点であると云えます。

リフォームと云えば表面だけを綺麗にして、耐震性・断熱性等建物の基本性能は無視すると云うイメージが定着しています。これは専門家である建築士・工務店がリフォームに積極的でなく、リフォーム業者と呼ばれる住設機器販売店や建築設備会社が、建築全体を把握せず、表面的な部分だけ改修する提案をし続けた結果だと思います。

そう云った意味から、リフォームとは一線を隔する住宅の再構築法を提案していきます。
再び
好きになれる様に
築き直す
と云う意味を込めて「住まい再好築」をシリーズ化して連載いたします。

【NPO法人がプロデュースする意義】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/28099/
【新しい耐震壁1】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/27896/
【新しい耐震壁2】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/27912/
【リフォームチラシの見分け方】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/27917/
【目に見える耐震壁】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/27947/
【目に見える耐震壁2】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/28005/
【建売住宅の現状】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/28125/
【中古住宅を改修する1】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/28068/
【中古住宅を改修する2】http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/28137/

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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

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