南海地震の発生確率が上昇しました。
阪神大震災は震度7が観測された初めての地震で、木造家屋を中心に多くの建物が倒壊しました。
東日本大震災も震度7を観測しています。しかし、建物は津波で押し流されたものの、地震で倒壊した建物はわずかでした。
阪神大震災の教訓が生かされて建物の耐震化が進んだのでしょうか。または積雪に耐えられる様に元々頑丈な家が多かったのでしょうか。
実はそのどちらでもない事を地震波が示しています。同じ震度7でも揺れ方が違うのです。
上記画像は阪神大震災の地震波です。縦軸に揺れの大きさ、横軸が時間経過を示しています。地震の大きさはこの揺れ幅の大きさで、示されています。
上記画像は東日本大震災の地震波です。揺れの大きさで云うと阪神大震災と同じかそれ以上を示しています。
では何故、阪神大震災の方が建物に多くの被害が出たのでしょうか。
上記の両方の地震波はメモリが異なりますので、単純な比較は出来ませんが、じっくり観察すると波形の密度の違いに気付きます。阪神大震災の地震波の方が針がゆっくり触れています。凡そ一回の振幅に1秒程度要している波形の時が最も強い揺れを示しています。東日本大震災の波形のピーク時の振幅期間はそれより短く0.3秒程でした。
実は、阪神大震災の1秒周期の揺れが建物に大きなダメージを与えたのです。
建物に関わらずどの様な物体にも、固有の振動周期があります。音楽で使う音叉(オンサ)を二つ並べ、一方を鳴らすともう一方も共振して音が鳴り出します。二つの音叉の固有振動周期が一致している為、共振したのです。
地震にも同じ事が言えます。地震の振幅の周期と建物の固有振動周期が一致すると建物が大きく揺れ倒壊につながるのです。
丁度木造建物の固有振動周期が1~2秒の間にあるため、阪神大震災の地震波の振幅周期と一致してしまったのです。最近ではこの建物の固有振動周期と一致する地震波をキラーパルスと呼んでいます。
逆に東日本大震災は、建物の固有振動周期と、地震波の振幅周期が一致しなかったため、共振せずに倒壊を免れたという事です。
表題に戻りますが、単純に「震度7に耐えられる家が出来ます」とか云う宣伝文句には、懐疑的に見た方が無難です。宣伝文句以外に具体的な根拠を示していないと、現行建築基準法を守っていただけでは建物は震度7に耐えられるとは云えません。
2014年11月に発生した長野県北部地震では規模こそ小さい地震でしたが、多くの建物が倒壊しています。
現行建築基準法では、地盤条件や建物の構造に無理があれば、震度5強あたりから倒壊の恐れが出てくるのではないかと云われています。