地震が起きたら大阪平野に安全な場所はない。
数日前、松井大阪府知事が南海地震に備え、大阪の地下街を守るのが急務だとして、大阪湾に巨大防潮堤の構想を発表しましたが、防潮堤は万里の長城にすぎないのでは懸念しています。
何故ならば、大阪は水都と呼ばれるように淀川・寝屋川・大和川等の河川で構成されたデルタの上にある町です。大阪の地下街はそのデルタの下にあるのです。仮に防潮堤で津波をくい止める事が出来ても、河川の下で地下施設が損傷すれば河川からの水の侵入を止める術がありません。局地豪雨対策としての排水施設はあるでしょうが、河川からの水の侵入を想定していません。
昔は、地下街は地上建物の様に撓って揺れないので、比較的安全だと云われていました。しかし、その楽観的な予想は阪神大震災で見事に覆りました。
山陽電車の大開駅の写真です。神戸は六甲山からの土砂が堆積した扇状地の上にある町です。デルタではありません。ですので地下施設が破壊されても水没する事は回避されました。これと同じ状況が淀屋橋で起こればどうなるでしょう。淀屋橋の横には土佐堀川や大川(旧淀川)が流れています。
もしも上町断層が阪神大震災と同規模で動いたら、地下施設は健全に水密性を確保出来ると言えるでしょうか。
地震は繰り返し発生します。しかし、発生する度に新たな課題を私たちにぶつけてきます。「過去の事例がそうだったから、過去の失敗を繰り返さないする」だけでは次の地震への備えにはなりません。