古代地図と軟弱地盤
地震の強さを表す単位は複数あります。それらの単位は地震の一部の側面しか捉えていませんので、様々な誤解が生まれます。単位全ての概要を把握していないと地震の実態を掴む事が出来ません。単位の概要を把握して、地震の実態を正しく把握することにより、将来襲うと思われる地震の対策が可能となるのです。
津波に関しては、船の様な家を造らない限り防ぎようがありませんが、地震は打つ手が幾らでもあります。
地震計の示す波形を一度はご覧になった方も多いと思います。あれは何を測っているのでしょうか。地震の始まりは、微振動の観測から始まります。地震の波には縦波と横波があり、震源地から観測点までの距離が長いと、縦波(P波)が先に到達します。P波は横波(S波)と比較して揺れ幅が小さい為微振動として感じるのです。その後S波が襲います。徐々にではなく突然大きく揺れ始めます。何十秒かうねりのような振幅を繰り返し、やがて収まっていきます。その波形を地震計が記録するのですが、あの波形は重力加速度(gal)の大きさを表しています。
重力加速度とはどの様なものでしょう。ある物体が1秒間に1cm移動する力を受け続ける力を1galと表現します。ここで重要なのは力を受け続けることです。横向きに力を受け続ける現象は地球上では存在しません。ですので重力加速度は非常に解りづらい概念なのですが、発想を少し変えますと簡単に理解出来ます。
どの様なモノにも質量があります。地球上では質量を重さと考えて差付けないでしょう。重さとはその物体が、その質量分の力で地球に引っ張られ続けている現象です。
地球上の物体は1Gの力で地球に引っ張られています。1G=981galなのです。
断崖絶壁に横向きに家を建てたとしましょう。その家は常に981galの力で地球に引っ張られている事になります。実際の地震は何galの力で建物を横向きに引っ張るのでしょうか?
15万人の死者を出した関東大震災は大都市に発生した未曾有の大災害でした。その時記録した重力加速度は300galでした。日本の設計基準は関東大震災程度の地震に耐えられる様、400galの重力加速度に耐えられる様に設計されています。ではこれで安全なのでしょうか?実は全く安全ではありません。
阪神大震災は880galを計測しているのです。東日本大震災に至っては2000galを超えている観測点もありました。これは大変なことです。
しかし、2000galを超えた東日本大震災でも、阪神大震災ほど揺れによる直接的な被害はありませんでした。阪神大震災以降目立った基準の改正はありませんので、建物の耐震化が進んだと云う訳ではありません。雪国のため積雪荷重を関西地方より多くは見込んでいますが、これだけの被害差は出ません。
galには、加速度がどれだけの時間持続したのかと云う概念がないのです。300galの重力加速度が1秒続けば相当大きな被害が出るでしょう。2000galの重力加速度でも0.001秒しか続かなければ大した被害は出ません。日本の設計基準はgalの大きさを元に組立てられていますが、galだけで被害を想定するのも難しいのです。
関連
【震度階】
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/18678/
【マグニチュード】
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/18696/