古代地図と軟弱地盤
地震は大きく二通りのタイプに分かれます。
一つは阪神大震災の様な、断層型(直下型)地震で、もう一つは東日本大震災の様な海洋プレート移動型地震です。大きくはマントル対流による地表面の歪みが断層を境に動くものですから、地震発生のメカニズムとしては同じなのですが、プレート移動型の地震は周期がはっきりしているのに対し、断層型地震はいつ発生するか判りません。阪神大震災を起こした野島断層は震災前は全く注目されませんでした。関西ではむしろ上町断層や生駒断層、中央構造線等々の断層の方が危険視されていて、発生確率も高いとされていました。
東海・東南海・南海地震等プレート移動型地震は100~150年周期で発生しています。南海地震は太平洋戦争直後に発生していますので、凡そ70年が経過しています。東海地震は宝永・安政とピタリと150年周期で発生していたのに、安政地震から160年近く経過した現在に至っても発生していません。
地震については、この様な違いもありますが、建物に対する影響も異なります。
断層型地震は地震規模としてはプレート移動型地震に比べれば小さいのですが、震源地が浅い為震源地付近の建物に大きな影響を与えます。阪神大震災での死者の殆どが建物倒壊によるか倒壊直後に発生した火災によるものです。東日本大震災は建物の倒壊による死者は少なく殆どが津波による溺死でした。
気象庁が発表した地震の震度階はどちらも震度7でした。同じ震度7でも建物のダメージに違いがあるようです。
建物の倒壊に至る地震の強さを的確に表している単位として近年注目されているのが、「カイン」と云う単位です。1秒間に何センチ移動するかを表したもので、東日本大震災では、マグニチュード9.1・最大重力加速度2000ガル強と、いづれも阪神大震災のマグニチュード7.6・重力加速度880ガルを上回っていましたが、カインは80カインと、阪神大震災の200カインを下回っています。
超高層の様な背の高い建物は長時間揺れるプレート型地震が弱いのに対し、他の建物は構造を問わず断層型地震に弱いと云えます。