地震被害と、お菓子の袋の切り口

いつもイライラするのが、開け難いお菓子の袋、ほんの少し切り口があれば、簡単に開けられるのに素手で開けようと思えば一苦労します。これは地震と関係があるのです。

最近は見なくなりましたが、昔アンプルと云いまして、水薬や高級な栄養ドリンクはガラスで密閉された容器に入っていました。くびれたところがあり、そこに付属の鑢でゴリゴリと傷をつけて指でポンと押すと中の液体をこぼさずに綺麗に割れました。これも袋の開け口と一緒です。

何故、少し切れ目があるだけで簡単に開けられるのでしょうか？

これは力が弱いところに集中して集まる為です。引きちぎる力を「せん断力」と呼びます。　例えば鉄筋コンクリートの建物は柱と梁と床で構成されていますが、床部分は梁と床で非常に剛性が高く頑丈になっています。それに対抗するだけ柱も頑丈でなければ、柱が袋の切り口と同じ状態になり柱が「せん断破壊」します。阪神大震災の時、一階が柱だけのピロティー部分がぺちゃんこに潰れたマンションをいたるところで見かけました。
倒壊に至らなくても、柱の中央でXの字に亀裂が入った柱を何度も目撃しています。

鉄筋コンクリートに限らず全ての構造物も同じ現象が見られます。例えば木造の建物でも建物の間口の端から端まで窓の開いている壁がありますと、腰壁と垂れ壁は剛性が高いのに対し窓の部分は木の柱しかありませんから、開口部分から建物の倒壊が始まります。

力の集中する部分は「切り口」の様なくびれた部分以外にもあります。角ばった先端も応力の集中する場所です。最近に出来た高速道路の柱脚は角が丸いのには意味があります。角を無くして応力を分散させているのです。
L字の平面をしている建物も入り隅部分に力が集中します。

その辺を念頭に入れて、我が家を見直してください。地震に弱そうな部分が見えて来ませんか？