上町断層帯の危険な兆候
住宅業界紙「新建ハウジング」5/10号より。
東日本大震災以降、日本各地の被害想定の大幅な見直しがなされている。国は2020年までに耐震化率を95%まで引き上げる目標を上げているが、国民の意識はどうなのか、築年数別に昭和56年以降・昭和46年~昭和55年・昭和45年以前の家に分けてアンケートした。
①東日本大震災で耐震改修の関心が高まったか?の質問にyesと回答した人は
昭和56年以降 28.1%
昭和46年~昭和55年 42.3%
昭和45年以前 23.5% だった。
昭和56年以降は築年数が浅いから、また新耐震基準を満たした建物であるとの楽観視からか、3割を下回る結果となっている。最も大きな不安を抱えているのは日本列島改造論で建設景気となった昭和46年以降の粗製濫造の住宅に住む人達で4割を超えている。不思議なのは昭和45年以前の住宅に住む人たちの意識の低さである。23.5%しか耐震改修に興味を示していないのは、築年数同様住む人の高齢化に伴い、耐震の重要性に関する情報が届いていない可能性が考えられる。
②耐震改修をしない理由も聞いてみた。
【理由1】改修しても本当に安全かどうかわからない
昭和56年以降 33.8%
昭和46年~昭和55年 38.6%
昭和45年以前 40.4%
築年数が古くなるにつれて、安全性に疑問を抱いている結果となった。これは古い建物ほど危険と考えている建築関係者から見ると意外な結果に思える。古い建物ほど少し手を加えるだけでも効果が現れるのに、住まう人は古い建物だから改修しても仕方ないと考えている為かと思われる。
【理由2】倒れたら立て直せば良い
昭和56年以降 12.6%
昭和46年~昭和55年 7.1%
昭和45年以前 25.5%
昭和45年以前の家に住む人の心理として、家は倒壊しても命は助かるのではと云う楽観的な考えがうかがえる。被害想定の見直しに無関心で、耐震改修の知識にも乏しく、壊れれば建て直せば良いと考える人の住いが、最も危険な状況に置かれている。