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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

地震と建物の重さの関係

2012年4月3日 公開 / 2014年5月23日更新

テーマ:【免震住宅・地震対策】

コラムカテゴリ:住宅・建物

●軽い構造の方が地震に強い
地震が発生すると横向きに重力が加わるのと同じ力が働きます。断崖絶壁に横向きに家を建てるのと同じ力が加わるのです。阪神大震災の時は重力の9割程度の力が瞬間的にですが加わりました。

木造やビルに関わらず倒壊した理由はここにあります。軽い方が丈夫ですから、鉄やコンクリートより軽い、木で出来た家は本来もっとも強くあっても不思議ではありません。

●木造住宅よりビルの方が地震に強い?
一般的にはマンションの方が木造住宅より地震に強いと考えられています。しかしこれは神話です。
マンションは構造計算によって地震力の流れを正確に解析されているから、想定内の地震であれば耐えられているのです。
現行法規では木造住宅は構造計算をしなくても、建築確認申請が通ってしまうので、勘と経験が頼りの建築になってしまい、安全が保証できないのです。それともう一つ木造はシロアリと腐食が大敵です。その対策とメンテナンスを怠るから弱くなってしまうのです。

●安全に住まう為に
木の家を安心して住もうと思えば、構造計算をしっかりとした家に住むことです。構造計算費用は木造住宅の場合15~30万円程度です。「設計料が高い!!」とか考えて値引きするから、勘と経験が頼りの家にしか住めないのです。
また、メンテナンスと云っても、汚れや古臭くなることでは構造は影響されません。逆に木の場合セルロースが変化して古い木ほど堅くなる傾向にあります。要は、シロアリと湿気さえしっかりと管理できれば、木の家は丈夫さを維持できます。長期優良住宅に規定されている点検口で構造点検の殆どをカバー出来ます。日頃から家の管理をしっかりつける習慣をつけましょう。

●建築基準法の限界
大地震に遭遇した場合、建築基準法の考え方は建物の倒壊を防ぐことにあります。普通の地震であれば健全性も担保出来ますが、大地震になると建物にダメージが出てしまいます。建物にダメージが出ると余震に耐えられると云う保証はなくなります。補修工事が終わるまで、家に戻れないのです。
大地震に耐えられる様に、踏ん張って耐える構造にするよりも、地震の力を建物に伝えない構造にする方が、力学的には有利です。しかし、建築基準法の大前提として地震には踏ん張って耐える事を前提として法律が出来ていますから、特殊な構造として大臣認定を取得した装置のみが免震装置(支承)として使用できることになっています。

【関連地震情報】
〔南海地震の震源域が見直されました〕
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/12769/
〔上町断層帯の危険な兆候〕
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/13205/
〔大阪の直下型地震〕
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/13218/
〔NHKスペシャル 「巨大地震メガクエイクⅡ/ 日本の地下で何が?」〕
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/13548/
〔首都直下型の想定震度分布が見直されました。〕
http://mbp-japan.com/osaka/oado/column/13535/

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