お金を掛けずに地震に強い家にする方法
家は、数十年と云う歳月に耐え得る構造にしておくのが命題です。
東海・東南海・南海地震と連動して動く可能性のある巨大地震が、今後30年以内に80%の確立で発生すると政府が発表しています。東日本大震災と同規模か、又は震源域が近い為、それ以上の被害となる可能性が指摘されています。
震源域付近に居住する人口は約7000万人で、早急に何等かの対策を講じなければ、日本は再生不能な状態まで衰退すると考えられています。歴史的に見ても地震で国家が滅亡した例は幾例も確認されています。
地震は対岸の火事と捉える人が、まだまだ多いのが不安でなりません。
免震装置と制震装置の比較ですが、機構的な話をしますと、免震装置は基礎と上部構造物との間に免震装置を設けて、地震力を伝えなくしようとする構造です。
制震装置は、一階の壁の中に制震装置を配置します。木造住宅の場合、他の構造と比較して柔らかい構造になっていますので、地震が発生すれば撓って、一階よりも二階の方が大きく揺れます。その大きくなる二階の揺れを制震装置で吸収しようとするのが、制震装置の目的です。つまり、二階の揺れは耐震構造に比べ抑える事が出来ますが、一階の揺れは耐震構造と全く変りません。家具が倒れ下敷きになる可能性は充分にあるのです。
制震装置は機構上、建物が変形(損傷を受ける)し始めないと働きません。建物の倒壊は防げますが、建物の補修は必要になります。耐震構造同様に、避難生活や復旧工事を余儀なくされます。
免震装置が高価なので、代わりに制震装置をとお考えの方もおられますが、免震装置より安価とは云え、制震装置も高価なものですから、それであれば普通の耐震構造にしておいて、耐力壁を少し多めに取れば、制震装置と全く同じ効果を得ることができますので、むしろそちらをお勧めします。
免震装置は地震力を上部構造に伝えない構造です。免震・制震と名前だけ聞いていれば、同等の能力を有している様に思ってしまいますが、性能は全く異なります。比喩的な表現になりますが、新幹線と在来線ほどの違いがあります。
問題は、免震装置を用いて如何に安く建てられるか、だと考えています。
高価な免震装置を用いても、建物総工費として価格を抑える事が出来れば、それで良いのではないでしょうか。
ハウスメーカーの目指す免震住宅は、免震装置を付加価値として考えていますので、装置分だけ建物価格が高くなってしまいます。
ハウスメーカーの規格住宅以外にも、大臣認定を取得した免震装置で一般の工務店が利用出来る免震装置があります。それを用いて建物本体の価格を抑える事により、総工費を抑える事が可能となります。昨年その様な方法で免震住宅を一件完成させました。建築主の了解を得ていませんので、ここでは価格を公表出来ませんが、ハウスメーカーの考える免震住宅とは違う、価格構成になっています。
http://www.jin.ne.jp/oado/mensin.html
最近、大臣認定を取得していない免震装置まがいのモノをTV報道等で目にします。基礎と上部構造を切り離す行為は大臣認定を取得していない限り、建築基準法違反です。公的な補助・優遇措置を受けられないばかりか、派生した問題の全てを建築主が負う事になりますのでご用心下さい。