南海地震の発生確率が上昇しました。
現在の耐震診断と補強方法に疑問を持っています。
耐震改修補強設計を一度経験した方なら、判って頂けるかと思うのですが、土台と梁に柱を固定する金物(柱頭柱脚固定金物)を取り付けただけで、どんどんと評点が上がっていきます。評点0.5(地震が来れば倒壊する可能性が非常に高い)を下回る建物が、柱頭柱脚固定金物を取り付けただけで評点1.0(一応安全)まで評点が回復することがあります。
確かに、地震で木造建物が倒壊する過程において、土台から柱が抜けて建物の剛性が失われて倒壊が始まる事が判っていますが、柱頭柱脚を固定しただけでは、安全と云えるレベルまで回復しません。筋交い等の耐震要素の補強を適切に行わなければ、やはり倒壊します。
耐震改修指針の作成にあたり、検討委員会の中に補強金物メーカーの人が入っていたと云う背景もあると聞きます。
闇雲に耐震設計ソフトの云う通りに、操作してやたら柱頭柱脚金物をつけて補助金だけ貰えればそれで良いと云う耐震改修工事がまかり通っている気がしてなりません。
補助金が絡むと、営利目的の耐震改修業者が暗躍します。木構造に今まで携わった事が無い様に思われる人達が、改修設計指針だけに囚われて補助金目的で、改修工事を行っても当然地震に強い家になるとは思えません。
業者選定にはくれぐれも用心された方が良いでしょう。