ローコスト住宅の手法(簡単に手に入るものを利用する)
木の棒と鉄の棒で打ち合うとどちらが折れるでしょうか?
勿論、木の棒が折れてしまいます。
では、地震が発生した時、木の家は鉄の家より弱いのでしょうか?
答えはノーです。
両腕を前に伸ばして、同じ長さの木と鉄の棒を持ち比べた時、どちらが大変ですか?鉄の方が重いので大変ですよね。地震の時は重力と同じ力が横向きに働きます。
その力に抵抗しようと思えば、建物は軽く造った方が地震に強いのです。だからと云って紙や綿で家を造ったのでは、地震が来なくても、自身の重さで潰れてしまいます。
地震に対して本当に強い材料を選定するには、重さに対してどれ位の強さがあるかを検証しなければなりません。材料の強さの種類を、引っ張り強度・圧縮強度・曲げ強度の三つで検証しますと、同じ体積で木と鉄を比較すれば、木が概ね900・380・700kg/cm2であるのに対し鉄は、4000・3500・1000kg/cm2もあります。
但し、比重は木が0.4程度であるのに対し鉄は7.8あります。なんと19.5倍も重いのです。
同じ重さで木と鉄の比較をしますと木は、引っ張り強度で4.4倍、圧縮強度で2.1倍、曲げ強度では15.4倍も鉄より強いのです。
今まで、木造の家がなんとなく弱いと感じていたのは、木造住宅が建築確認申請において構造的検証を行う義務が無い為、実際に工事をする大工さんでさえ、数値をもって木の強さを説明出来なかった為です。構造的な検証をしっかりと行い、木の欠点である腐朽対策・防火対策をしっかりと行えばこれ程強い建築材料はありません。
鉄骨が今見られる様な構造で、建築に使われ始めたのは、ジョセフパクストンが1850年代のロンドン万博で造った水晶宮が最初で、まだ160年ほどしか建っていません。
鉄筋コンクリート造はそれよりまだ遅く、1910年代にル・コルビジェが発表したドミノシステムが始まりです。これでようやく100年を経ました。
木造建築は、法隆寺を例に出すまでもなく1000年以上の歴史(ノウハウ)があります。
高度成長期、質より量を求められた粗製濫造時代の木造住宅が、地震に弱いもの、耐久性のないものと云う、イメージを定着させてしまったのです。
また、木造住宅は建築確認申請において構造的検証を行う義務がありません。そんな建築基準法だけに頼っていては、強い木造住宅は造れません。
国から、住宅性能表示制度・長期優良住宅と云った木造住宅の安全性を数値で表す指針も出されていますので、積極的に活用して安全で丈夫な木造住宅を造られる事をお勧めします。