上町断層帯の危険な兆候
想定を上回る巨大地震
平成23年3月11日東北地方でマグニチュード9.0と云う、史上最大級の地震が発生しました。 津波では木造建物は脆弱性を露呈し、見るも無残な姿を晒すことになりました。
現在の建築基準法では、抵抗するべき外力として、地震・台風・積雪に対する基準はありますが、津波に対する基準はありません。
津波遭遇すれば、なす術が無いのが現状です。映像を良く見ていると鉄砲水の様に水の圧力で押し流されると云うよりも、水深が上がるにつれてプカプカと浮かび上がる様な壊れ方をしていました。
流された後を見ていると基礎と土台が残っており、柱から上が流されて行ったのが見て取れます。
何故そうなったかは簡単なあ話しで、コンクリートや鉄骨は水に浮かびませんが、木は水に浮いてしまうのです。まして最近の木造住宅は昔に比べ気密性能が向上しています。部屋の中の空気が浮き袋の役目を果たしたとも云えます。
基礎と柱を止める金物は10年ほど前まで、釘しかありませんでした。最近になってホールダウン金物と云う基礎と柱を直接繋ぐ金物が使われていますが、この金物でも最大3トン程度の引き抜き抵抗力しかありません。
建物の重さは40トン以上あります。その40トンの建物が浮いたのですから浮力は40トンを越える事になります。これではホールダウン金物が仮に10本使っていても浮いてしまう計算になります。
津波の危険性のある地域では、現行の法律では木造住宅はお勧め出来ません。現状の工法では木造住宅は破壊され、瓦礫となって復興の妨げとなってしまいます。
津波ではなく、地震そのものの被害は、最近の耐震工学の発達により倒壊家屋は想定を下回りました。しかし半壊する建物が増えてしまい、結局避難生活を 強いられる結果となっています。
今の耐震の考え方は、地震が発生した時にそれに抵抗しようと、踏ん張ることに重点を置いて考えられています。建築基準法も地震の強さを想定して、その強さ以上の抵抗力を建物に要求しています。
これは、基本的に人命を守る事を主眼にしていますので、建物の健全性を担保するものではありません。人が避難するあいだ、建物内部に空間を確保出来れば良いと云う発想です。
また、これでは、想定以上の強さ、若しくは想定に無い揺れ方をした場合のことは何も考えられていません。
「柳に雪折れなし」のことわざにあるように、地震の力を受け流す発想で法律が出来ていれば、今の地震の惨状とは随分違った結果になっていたと思います。