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神野沙樹

「活き生き組織」をともに作る社会保険労務士

神野沙樹(かみのさき) / 社会保険労務士

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

コラム

【就業規則の作り方】リノベーション就業規則で会社の歴史を活かす方法

2019年7月3日 公開 / 2021年2月26日更新

テーマ:いきいき職場づくり(組織活性)

コラムカテゴリ:ビジネス

リノベーション就業規則

創業50年を超える会社様にお邪魔しました。
就業規則の改定ということお話を伺っているとき・・・

社長は「今ある就業規則が古いので、法律に即した就業規則を作りたい」と言われています。

ところが、よく見ると、歴史ある会社さんならではの特徴的な条文がありました。
真新しく規則を作ることはもちろんできるけれど、せっかくだから
「古いから新しくする」だけではなく、味(良さ)を生かした就業規則もおススメです。

ちょっと待って!その就業規則、

本当に変えてしまっても良いですか?


リノベーション アイキャッチ用

色々なご事情で事業承継された社長様や、新たに管理部門を任された役職者様。
社内を見渡し、少しでもよくしていくためにはどうすれば良いかと、
様々な角度からご検討されていることと思います。

その課題の一つとして取り上げられるのが「人事労務」という分野です。

内容は各社様々ですが、例えば次のような内容が挙げられます。

・働く時間を見直したい
・働きがいを見直したい
・ダラダラ働く風潮を見直したい
・賃金体系を整理したい
・残業代を見直したい

これらを進めるにあたって、必ずと言って目にされるのが「就業規則」でしょう。

就業規則を覗くと「え!作ってからこんなに時が経っているのか」
「紙がボロボロで、データもない」そんなこともしばしばあります。

そして、作り変えるにはどうすればよいのだろう…と思い、
関連する書籍やサイトを覗くと「会社を守る就業規則を作らなければ、
訴えられた時に危険ですよ!」という文字が目に入ります。

その結果、「こんな古い就業規則ではなく、”いまどきの”就業規則を作ろう」
と社労士に依頼をする…

こんなことが多々有ります。

確かに、現状に合っていないルールは変更すべきです。
しかし、本当に「今の時代に合わない」とイチから作り直してしまっても良いでしょうか。

御社はこれまでその就業規則で問題が多発していたのでしょうか。

よく見ると、御社がここまで続いてきた歴史が詰まった一冊かもしれません。

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変えなければならないことと、変えてはならないこと




就業規則は、「この内容は絶対に書かなければならない」という項目が法律で決まっています。
例えば、給料、勤務時間、休暇 などです。

それでは、その「必要最低限の項目しか書いていないか」というと、
決してそうではありません。

会社で大切にすることや、経営者の想いなどが書いてあるケースもあります。
歴史を重ねられてきた会社様であればあるほど、話し合いの時の考え方や、
労使の在り方など書かれているケースも少なくありません。

それらをすべて、「不要だから」と削除してしまうのはもったいないです。
なぜなら、それが会社の特徴であり、
もしかすると長く続いてきた「秘訣」だからかもしれないからです。

ですから、一見、書いてある内容が「前時代的だな」と感じる項目であっても、
本質として何が言いたかったのか、その意図を考えたうえで、
残す・残さないを検討してみましょう。

具体的に「変えなければならないこと」と「変えてはならないこと」を挙げてみていきます。

【変えなければならない項目】
・現状と合っていない内容
 (例:現在の始業時刻は9:00だが、規程上は8:30になっている)

・法改正があったのに変えられていない項目
 (例:定年年齢が55歳となっている、育児休業や介護休業について書かれていない)

・言葉や表記が難しすぎて、理解しづらい項目
 (例:蓋し(けだし)、旧仮名遣い)

【変えてはならない項目】
・経営理念や社是、その他会社として大切にしていることを明記した項目
 (例:問題が起こった時は労使協力して解決する、お客様に対する考え方など)

・創業者の想いなどが書かれた項目
 (例:まえがき、あとがきなど)

【一見すると変えてしまいがちだが、吟味が必要な項目】
・書いてある内容が「前時代的だな」と感じる項目
 (例:休暇に対する考え方、役職者の在り方など)

 「今の時代に合わない」と感じることも、本質として何が言いたかったのか、
その意図を考えたうえで、残す・残さないを検討してみましょう。

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良さを生かしながら改定していく方法




こうした歴史のある会社様の就業規則の改定でよくあるのは
「良かれと思って」古い就業規則から新しい就業規則に変更する、というものです。

誰も「悪くしよう」と思って変えません。

現状や時代に合わない就業規則を払拭し、
今働いている社員の方にとって、よい就業環境を作っていきたい…

そう考えられるのは決して間違いではありません。

しかし、頭に置いておきたいものは引き継がれた時がどんな状況であれ、
「歴史」を紡いできたことには変わりありません。

そして、組織というものは人が入れ替わり、 「時とともに、創業者の想いは薄れて」いきます。

そう考えると、受け継がれてきた会社の文化が垣間見える
「昔ながらの就業規則」はとても貴重です。

良さを生かしながら、 今を担う私たちで練り上げる、
まさに「リノベーション就業規則」にしてみてはいかがでしょうか。

方法は簡単です。

1 変更すべき項目とそうでない項目の洗い出しをする

2 変更すべき点について変更する

3 法律監修は専門家(弁護士や社労士)に依頼する

さらにもう一歩、就業規則を組織成長の機会とする2つの方法

1 上記の作業を
「幹部やリーダー、リーダー候補」から選出したプロジェクトメンバーで進めていく

自分たちで進めれば進めるほど、
「自分たちの働き方」として捉えることができるようになります。

2 規程の改定をするとともに、創業者精神を考える、触れる、探す機会を作る

急に「創業者精神を考えよう」と言うのも突然すぎますので、
就業規則改定を機会に触れてみるととても良い機会になりますよ。

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■まとめ
今回は、事業承継された社長にこそ読んでいただきたい
「就業規則」の改定方法について見てきました。

就業規則は家と同じで、「古いから新しいものへの建て替え」も可能ですが、
「良さを生かしながら、時代に合わせる」ことも出来ます。

会社の存在意義、経営理念、創業者精神など考えるいい機会になること間違い無しです。

ぜひ「リノベーション就業規則」として作り変えられてみてはいかがでしょうか。

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神野沙樹(株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設))

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