社内で実践!働き方改革の進め方(1)知る~3分で分かる「働き方改革」解説

神野沙樹

神野沙樹

テーマ:いきいき職場づくり(組織活性など)

働き方改革って何

なぜ、急に「働き方」について注目するようになったのか?




まず、働き方改革が騒がれ始めた「理由」から見ていきましょう。

あれこれ言われていますが、シンプルに説明すると、次の2つが大きな理由です。

1.世界(国連)から「日本は働き過ぎ!」「過労死やハラスメントで自殺者が出ているなんてもってのほか!」「何とかしなさい」と指摘されていた
(2013年国連社会権規約委員会 総括所見より)

→このままいくと、世界からの投資が期待できない可能性も出てくるので、
 日本の信頼回復を図らなければ!


2.少子高齢化が進み、2050年には65歳以上の人口が40%に

→単純に「働く人」が減るわけなので、「マンパワーで何とか」出来なくなる。もっと効率的に、あるいは働き方を工夫してやっていかなければ、日本経済が立ち行かなくなる!

そう考えた国(安倍政権)が、2016年に打ち立てたのが、アベノミクスの柱である「ニッポン一億総活躍社会」という政策の中で謳った「働き方改革」だったのです。

おそらく、みなさんが耳にされたのは早くても2016年頃だったのではないでしょうか。

しかし、国内で話題になる前から、世界(国連)からは指摘を受けており、
「解決しなければならない急務」だったといえます。

その後、電通株式会社の女性社員の方の過労死(2015年)に対する強制捜査や、新国立競技場建設に関わっていた男性社員の方の過労死事件(2017年)が起こるなど、世間としても「働き過ぎからの脱却」というムードが漂い、そのさなか2018年4月6日「働き方改革法案」が国会に提出された、というわけです。

働き方改革って、働く時間を減らすことだけじゃないの?




働き方改革で取りざたされるのは、「長時間労働」や「働く時間を減らす」「休日を取れるような環境づくり」など、“労働時間のこと”が多いです。

ですから、多くの方は「労働時間を減らすことが目的」だと思われているようです。

確かに、労働時間を減らすことも一つの目標ですが、それだけではありません。

もう少し具体的にみてみましょう。

【働き方改革とは?】

(1)働く時間を減らすこと
→残業(時間外労働)や休日出勤を減らす、休日を増やす、労働日数を減らす、効率的な(生産性の高い)働き方

(2)働き方の選択肢を増やすこと
→正社員orパートタイマーという選択肢だけではなく、テレワーク、兼業OKな職場、短時間正社員等、
さらに自分で選択できる働き方を促進する

(3)働く環境を整えること
→定年年齢を引き上げることや、給料水準や評価基準を見直すこと

(4)働きやすい(働きがいのある)職場にすること
→仕事の進め方を改善する、組織風土を変える(人間関係をよくする)

なぜ、このような「改革」をしていかなければならないのでしょうか。

答えは、「誰もが活躍できる世の中を作るため」です。

例えば、「残業前提でしか仕事が成り立たない」職場だと、活躍できる人(働くことが出来るひと)が限られています。

しかし、これからの時代「働くことが出来るひと」は減っていきます。

「一握りの人しか活躍できない」状態ではなく、女性も、若者も、高齢の方(65歳以上の方)も、外国の方も、障がいを持つ方も、そしてIT(AI)も活躍できる世の中にするには、柔軟でしなやかな職場づくりをしていく必要があります。

そして何より、「働くこと」は「生きること」にも直結します。

働き方改革は、「国のため、会社のために働く時間を短くすること」ではありません。

どうすれば自分達がもっとイキイキと働くことができるか、あるいは生きることができるか、
それらを考える一つのきっかけであるということです。

誰のための「働き方改革」なのか~私たちに関係するのか




誰のための「働き方改革」なのか、働く私たちに関係するのでしょうか。

答えは「YES」です。

しかし、
「働き方改革なんて、大手の話でしょ、ウチには関係ない」
「やった方が良いのは分かるけど、無理だよ、お客様の期待に応えないとウチはやっていけないんだから」

会社の経営者の方からも、社員の方からも、こんな声を聴くことがあります。

とはいえ、その一方で感じていらっしゃるのではないでしょうか。

「これまで採用に苦労したことはなかったが、なかなか採用できないな」
「今の社員が頑張ってくれているから成り立っているが、10年後も同じことができるかと言われると、悩ましい」
「あと5年後、自分の親が元気でいてくれるという保証はない。介護なんてことになったらどうしよう」

働く人が減っていること、
自分や家族の健康が損なわれていること(あるいは年を重ねていること)

というのは、「日々感じること」ではありません。

しかし、確実に時は流れ、状況は変化して行っています。
そう考えたとき、「自分には何ができるのか」「自社でできることはどんなことか」をやはり真正面からとらえ、
行動していかなければなりません。

繰り返しになりますが、働き方改革は、どうすれば自分達がもっとイキイキと働くことができるか、
あるいは生きることができるか、それらを考える一つのきっかけです。

「言われたから実行する」「法律できめられたから取り組む」ではなく、ぜひ自分ごととして。

イキイキと生きられる自分、会社・社会を目指して、取り組んでいきましょう。

■まとめ

今回は、「3分で分かる働き方改革解説」をお伝えしました。

ポイントをおさらいすると、次の5つです。

1.働き方改革は、国連からの指摘と働く人の数が減っていることを受けて、国が始めた施策であること
2.働き方改革として取り組むゴールは、「労働時間を減らすこと」だけではないこと
3.働き方改革は、誰もが活躍できる世の中を作るためであること
4.働き方改革は、どうすれば自分達がもっとイキイキと働くことができるか、
  あるいは生きることができるか、それらを考える一つのきっかけであること
5.働き方改革は、「~ねばならない」ではなく自分ごととして取り組む必要があること



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神野沙樹
専門家

神野沙樹(社会保険労務士)

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

経営者様、社員のみなさん自身による「就業規則」や「評価制度」づくりをサポートする社会保険労務士。第三者の立場として「制度づくり+人づくり」を促し、真にイキイキとした職場づくりを提案します。

神野沙樹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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