仕事と介護の両立

神野沙樹

神野沙樹

テーマ:法改正情報や労務・コンプライアンスに関すること

内閣府の資料によると、家族の介護や看護を理由とした離職・転職者数は、10万人以上にのぼっています。とりわけ女性の離職・転職数は8万人を超えていて全体の80%を占めています。

介護は、「期間」の見通しが難しいです。
いつまで?どれだけ? 
介護を受ける方の状態によって変化が生じます。

仕事を何度も休まざるを得ず、そのような状態がいつまで続くのかわからないし、職場の方に迷惑がかかるから…と辞めてしまう。そんな事例が多いようです。

【介護と仕事を両立するための制度】

・介護休業制度
 対象家族1人につき、要介護状態にいたるごとに1回、通算して93日まで介護休業を取得することができます。

・介護休暇制度
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話(※)を行う労働者は、事業主に申し出ることにより、要介護状態にある対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日を限度として、介護休暇を取得することができます。
(※)通院等の付添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行等

・介護のための勤務時間の短縮等の措置
事業主は、短時間勤務制度等の措置を講じなければならないとされています。
①短時間勤務制度
②フレックスタイム制度
③始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤の制度)
④介護サービスを利用する場合、労働者が負担する費用を助成する制度その他これに準ずる制度

その他にも
法定時間外労働の制限、深夜業の制限、転勤の配慮、解雇などの不利益取扱いの禁止などがあります

【仕事を辞めないほうがよい理由】

・経済面で、収入源がなくなるのは困るから。
・介護休業を取得できたとしても、93日間だから。
・一旦仕事を辞めると、介護が終わってからの再就職がむずかしいから。
・介護サービスを受けるとしても、完全に無償でできるわけではないから。
・ずっと身内で介護をすることのストレスは大きいから。

【企業としてできること】

まずは、全社員に「介護で休まなくてはならない日がくるかもしれない」と自覚してもらうこと。介護は、突然やってくることもあります。高齢の親族を抱えた人だけが関係しているのではありません。

介護で休暇を取らなければならない場合、周囲の人の協力は得られるでしょうか?
職場の理解、行政や民間サービスの利用により、介護をする側の負担はずいぶんと違います。

育児休業は、復帰がしやすいです。期間が決まっていて、子どもが大きくなれば手がかからなくなるからです。でも、介護休業は違います。終わりが見えません。介護度が上がれば、介護の必要性はますます増え、仕事を続けることが難しくなります。

介護と仕事。。。両立できるような体制を作り、柔軟に従業員に寄り添ってサポートできるようになればいいですね。

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神野沙樹
専門家

神野沙樹(社会保険労務士)

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

経営者様、社員のみなさん自身による「就業規則」や「評価制度」づくりをサポートする社会保険労務士。第三者の立場として「制度づくり+人づくり」を促し、真にイキイキとした職場づくりを提案します。

神野沙樹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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