期間を定めた労働契約(有期労働契約)の法律が改正されました

神野沙樹

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テーマ:法改正情報や労務・コンプライアンスに関すること

労働者が安心して働き続けることが可能な社会の実現を図ることを目的として、期間を定めた労働契約(有期労働契約)に関する法律に改正がおこなわれました。有期労働契を長い期間にわたり反復更新した場合に、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)への転換が義務付けされます。
改正ポイント3つを解説します。
①はすでに施行されています。②と③は1年以内に施行されます。

◆◆◆◆◆ ①有期労働契約の更新等 ◆◆◆◆◆
【概要】
期間を定めた労働契約(有期労働契約)を何度も更新している労働者が、更新を希望した場合、基本的に会社はその更新を承諾しなければなりません。更新を拒否する場合には、一般の労働者(正社員など)を解雇するほどの理由がなければ、認められません。

【解説】
●契約社員であっても、更新を繰り返している場合には、契約更新をしないということが基本的にできないということです。以前から裁判になった場合は上記のように判断されていましたが、今回、法律の文章としてはっきり定められました。

●契約更新は法人単位でみますので、事業所が違う場合でも含まれます。過去に自社で働いたことがないか確認しておきましょう。(東京→大阪など)

●契約期間途中で辞めていただくのは「解雇」となります。契約期間途中での解雇は正社員以上にハードルが高く、期間満了まで待てない緊急性のある理由が必要です。


◆◆◆◆◆ ②有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換 ◆◆◆◆◆
【概要】
有期労働契約が何度も更新され、通算5年を超えた場合で、その労働者が期間の定めのない契約(無期労働契約)にしてほしいと希望したときは、基本的に会社は無期契約を結ばなくてはなりません。

【解説】
●契約期間が通算5年を超えると使用者は、契約期間と同一の労働条件で、申込みをしたものとみなされます。ただし、有期労働契約と有期労働契約のあいだに6か月以上の空白期間(クーリング期間)がある場合には、2つの労働契約を通算しない、という例外があります。

●実際に働いた期間でなく、契約上の期間を通算した期間でみます。
 例 育児休業期間も含みます。

●有期から無期契約になった転換者用を正社員と異なる労働条件にするのなら、あらかじめ転換者用の就業規則を定めておく対策が必要です。


◆◆◆◆◆ ③期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止 ◆◆◆◆◆
【概要】
有期労働契約の労働者の労働条件が、「有期契約である」ということが理由で、他の労働者(正社員など)の労働条件と違う場合には、正当な理由が必要です。

【解説】
●職務内容や転勤の有無などの条件が違うために、給与が違うなど、正当な理由があればいいのですが、全く同じ仕事内容なのに、「有期」か「無期」かの差だけで給与などの条件に差がつくのは認められないということです。


★ひとこと★
 大きな改正ですので、契約社員を採用している会社は気をつけてください。
知らない間に契約が5年になっていた。定年後の再雇用契約が5年以上になっていたなども無期契約の対象になってしまいます。(今回の法律の改正前に有期労働契約が開始されている期間は通算されません)
 今回限りの有期契約にしたいのなら、5年を超えないよう契約期間を管理しておくことです。そして契約更新時に次回は更新しないことを説明して納得してもらった上で契約をするようにしましょう。

派遣社員の法律も間もなく改正されます。こちらも注意が必要です!

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神野沙樹
専門家

神野沙樹(社会保険労務士)

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

経営者様、社員のみなさん自身による「就業規則」や「評価制度」づくりをサポートする社会保険労務士。第三者の立場として「制度づくり+人づくり」を促し、真にイキイキとした職場づくりを提案します。

神野沙樹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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