芸能人の労災保険加入(前編)

鈴木圭史

鈴木圭史

 みなさんはテレビのニュースなどで、役者やタレントがロケ中にケガをしたというニュースを耳にしたことはありませんか。もし自分が応援している芸能人が仕事中にケガをしたというニュースを聞いたら心配になりませんか。
 一般的な企業に勤めている人であれば、業務中にケガや病気が起こっても、国の補償を受けることができます。それが「労災保険」(正式名労働者災害補償保険法)です。
 しかし、芸能人はドラマや映画の撮影中にケガや病気が起こっても補償を受けることができるのでしょうか。

内容

1.労災保険とは?
2.労働者とは?
3.芸能人は労働者か
4.労災の特別加入の対象が拡大!
5.さいごに

1.労災保険とは?

 労災保険とは、業務中や通勤中に病気になったりケガをしたりしたときに、治療費を支給してもらえるだけでなく、働けない間の所得補償や、労働者が死亡したときに遺族に対する年金支給など、労働者とその遺族を保護する保険制度です。
 短期間でも1人でも労働者を使用する場合、事業主は労災保険に加入しなければなりません。
 ここで重要なのは、労働者かどうかの判断です。労災保険は労働者でないと原則加入できないからです。
 今回のテーマである芸能人ははたして労働者といえるのでしょうか。

2.労働者とは?

 労働基準法9条には、
労働基準法で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
 と規定があります。
つまり労働者とされるには、
①会社や事務所に
②使用され
③賃金の支払いを受けている者
という3つの要件を最低限満たしている必要があります。
 さらに労働者性の判断基準として、使用従属性というものがあります。
使用従属性とは、
1.使用者の指揮命令のもと労務提供を行っていること
2.働いた日分、時間分の対償として賃金(報酬)を受けていること
の二つを指します。

後編へ続く
(次回更新は4/29 12:00頃です。)

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鈴木圭史
専門家

鈴木圭史(特定社会保険労務士)

ドラフト労務管理事務所

社労士として20年以上の経験を誇り、労務相談から発展した、労務リスクの回避につながる労務監査を推進。IPOやM&A支援でも実績があります。「船員の働き方改革」に対応する海事代理士業も。

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