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賃金控除の労使協定

2019年3月12日

テーマ:労働基準法関連

コラムカテゴリ:法律関連

使用者は、原則賃金を全額支払う必要があり(労働基準法第24条)、これに違反し、賃金の控除を行った場合、罰則が適用され、控除が無効となります。

しかし次の①②の場合、例外として賃金の一部を控除し、支払うことができます。
①法令に別段の定めがある場合 
②書面による労使協定があり、労働者へ周知している場合
です。
①は、社会保険料や雇用保険料、所得税などが該当します。
②は、①以外のものを控除する場合です。社宅や、労働組合費等が該当します。

<労使協定の締結>
書面による協定である必要があります。労働基準監督署への届出は不要で、書式も任意ですが、トラブルにならないよう慎重に作成する必要があります。協定には「控除の対象となる項目」「控除を行う賃金の支払い日」「協定の期限」を盛込み作成します。
〇協定を結ぶ者
事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその「労働組合」、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは「労働者の過半数を代表する者」(以下「過半数代表者」)。ただし、過半数代表者は、管理監督者以外で、投票や挙手等の方法により選出されたものであることが要件となります。

〇控除する項目
購買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、社内預金、組合費等、内容が明白なものについてのみ控除が認められます。

〇控除する賃金の支払日
毎月の給与の他、賞与からの控除も可能です。通達では、控除を行う賃金支払い日について記載すべきとされているので、「毎月●日払いの給与」といったように記入しましょう。
また、支払日が不確定な賞与からの控除の場合は、「賃金規定第●条の定めにより支給される賞与」といったように根拠規定を記載しましょう。

〇協定の期限
法律上、有効期限の定めは不要です。しかし、賃金の控除する項目が変動する可能性や、労使双方の真意に基づいていることを確実にする為に、有効期限を定め、自動更新の旨を定めておくと良いでしょう。
【例】
「有効期限満了の●か月前までに当事者双方から異議申出ないときは、本協定はさらに1年間有効期限を延長するものとし、以降同様とする。」

<実際に控除する際の注意>
〇控除の上限金額
労使協定を締結していても、控除する金額には上限があり、それを超えた金額については使用者側からの相殺はできないので注意が必要です。使用者が控除できる上限金額は、一賃金支払期の賃金の4分1までで、4分の3に相当する部分については、使用者側からの相殺はできないとされています。(民法510条、民事執行法第152条)

〇貯蓄金管理は、別で労使協定が必要
労働者の貯蓄金を委託を受けて管理しようとする場合は、「貯蓄金管理に関する労使協定」を定め、労働基準監督署へ届出る必要があります。

この記事を書いたプロ

鈴木圭史

労務相談の専門家

鈴木圭史(ドラフト労務管理事務所)

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