定年後再雇用で賃金大幅減 高裁で労働者が逆転敗訴
厚生労働省は平成29年1月17日、長時間労働が疑われる事業所に対する重点監督指導の結果を公表しました。
●対象事業所数は倍以上に
この監督指導は、平成27年度から実施しているもので、27年度は月100時間を超える残業が疑われる事業所や、過労死などによる労災請求があった事業所を対象におこなわれました。28年度は月80時間を超える残業が疑われる事業所まで対象が拡大されており、監督実施事業所数の数も倍以上に増えています。
●80時間は過労死ラインと認識しているか
労災認定基準では、1か月100時間または2~6か月平均80時間を超える時間外労働がある場合、脳や心臓疾患が労災認定される確率が高まるとされています。これが俗に言う「過労死ライン」です。
今回公表された結果によると、4月から9月に監督指導をおこなった10,059事業所のうち、違法な時間外労働があったのは4,416事業所。そのうち月80時間を超える時間外・休日労働が確認されたのは3,450事業所にのぼりました。月200時間を超えるところも116事業所ありました。
過労死ラインを超えて働かせている事業所があまりにも多いことに、企業の認識の甘さがうかがえます。
●今すぐ過重労働対策を
平成26年に過労死防止対策推進法が施行されて以来、政府が過重労働の撲滅に向けて指導を強化してきたところですが、平成27年に起きた大手広告代理店の過労死事件を受けてさらに指導を強化されています。
労働基準法の改正に向けた話し合いの中でも「残業は年720時間(月平均60時間までとし、罰則を設けるべき」といった案が出ています。長時間労働のある会社は早急に対策が必要です。