勤務間インターバル制度について①

鈴木圭史

鈴木圭史

テーマ:よもやま話

●『勤務間インターバルとは』
 勤務間インターバル制度とは、「就労日における労働の終了から次の労働の開始までの間に、一定の休息期間(インターバル時間)を付与することを義務付ける規制」です。平成29年度より助成金の対象となる見込みです。
 この制度は、たとえば残業が深夜24時まで及んだ場合、翌日の始業時刻が午前9時だとすると9時間しか休息時間がありません。通勤時間や食事・入浴などの生活時間も考えると睡眠時間はさらに短くなります。
 こうしたケースで、休息時間を11時間として規制した場合、残業が深夜24時に終わってから11時間は必ず休息時間を与えなければならないことになります。本来の始業時刻は午前9時でも、少なくとも2時間遅らせて午前11時から始業としなければならないということです。
●『睡眠が不足するとどうなる?』
 勤務間インターバル制度の最大の目的は、1日の休息時間を確保することによる労働者の健康確保です。 睡眠が不足すると、心身の健康に問題が生じます。また、睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させ、眠気による事故につながる危険もあります。
  睡眠不足が蓄積すると、休日にまとめて睡眠をとっても、すぐには疲労が回復しません。疲労を溜めないためには、毎日十分な睡眠をとることが大切なのです。また、1日の睡眠時間が6時間未満になると、循環器疾患のリスクが高まることもわかっています。
●『休息時間は何時間とすべきか』
 勤務間インターバル制度の導入を検討する場合、休息時間は何時間にすべきでしょうか?
 すでに先駆けてこの制度を導入しているEUの労働時間規制では11時間の休息時間の確保を定めています。片道1時間の通勤時間がかかるとすると、休息できるのは9時間です。これに食事や入浴、身支度などの生活時間も考えると睡眠時間としてとれるのは実質7時間程度でしょう。
 11時間の休息確保は無理だという場合でも、最低でも6時間の睡眠はとれるようにすべきです。前述したように睡眠が6時間を切ると健康へのリスクが高まるからです。それに通勤時間や生活時間を足した時間を設定すると良いでしょう。ちなみに情報労連の加盟組合の勤務間インターバル制度をみると、休息時間を8時間としている組合が多いようです。
 休息時間に通勤時間を含めるかどうかという問題もあります。通勤時間を含めた休息時間とする方法と、休息時間とは別に通勤時間を確保する方法の2通りありますが、現在のところ、通勤時間を含めた休息時間とする方法が多数派です。

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鈴木圭史
専門家

鈴木圭史(特定社会保険労務士)

ドラフト労務管理事務所

社労士として20年以上の経験を誇り、労務相談から発展した、労務リスクの回避につながる労務監査を推進。IPOやM&A支援でも実績があります。「船員の働き方改革」に対応する海事代理士業も。

鈴木圭史プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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